1989 Fiscal Year Annual Research Report
血小板フィブリノ-ゲンレセプタ-機能の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
01570360
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤村 欣吾 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80034114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
木村 明郎 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (70127645)
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Keywords | フィブリノ-ゲン・レセプタ- / GPIIb-IIIa複合体 / Ca^<2+>濃度 / GPIIb-IIIa複合体のconformation / 円2色性 / トリプトファン蛍光 / 時間分解蛍光光度計 / 血小板活性化 |
Research Abstract |
血小板同志がフィブリノ-ゲンを仲立ちとして凝集反応を起こし血栓症が起こると考えられている。血小板はトロンビン等の生理的凝固活性物質によって活性化されはじめてその表面にフィブリノ-ゲンを結合する。このフィブリノ-ゲンレセプタ-として血小板膜糖蛋白(GP)IIb-IIIa複合体が同定されているが、活性化されてはじめてフィブリノ-ゲン結合能を有する機序は不明である。本研究はGPIIb-IIIa複合体のフィブリノ-ゲンレセプタ-機能発現機構について検討した。本年はヒト血小板よりGPIIb-IIIa複合体を精製し、Ca^<2+>による形態変化について検討した。すなわち血小板は刺激を受けると細胞内Ca^<2+>濃度は10^<-8>Mから10^<-6>Mに上昇する。又一方細胞外液は10^<-3>Mであるためにこれら3濃度のCa^<2+>によるGPIIb-IIIa複合体ののconformationの変化を検討した。20℃における各種Ca^<2+>濃度での精製GPIIb-IIIa複合体のうち円2色性による構造変化を検索した。その結果10^<-8>、10^<-5>〜^<-6>MのCA^<2+>濃度ではα-Heli×構造やβ-sheet構造には変化がなく、10^<-3>Mの濃度でβ-sheet構造が若干増加した。各Ca^<2+>濃度におけるGPIIb-IIIa複合体の中のトリプトファンの蛍光スペクトルの変化を蛍光光度計にて検討した。その結果10^<-3>Mでトリプトファン蛍光ははじめて長波長測に移動することからGPIIb-IIIa複合体全体として親水性に傾くと考えられた。しかし10^<-8>M、10^<-6>Mでは変化は認めなかった。時間分解光度計による検討では10^<-8>Mで短波長成分が増加し10^<-6>、10^<-3>Mでは逆に長波長成分が増加した。このことは10^<-8>MでGPIIb-IIIa複合体が解離したことによる変化と考えた。 以上の結果よりGPIIb-IIIa複合体のconformationの変化は10^<-3>MのCa^<2+>濃度で生じ少なくとも10^<-8>Mや10^<-6>Mでは起こらないことより血小板活性化に伴う細胞内Ca^<2+>濃度の上昇は直接GPIIb-IIIa複合体のconformationの変化を引き起す可能性が少ないことか判った。
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[Publications] Fujimura K et al: "Abnormal Ca^<2+> homostasis in platelets of patients with myeloproliferative disorders:Low levels of Ca^<2+> influx and effeux across the plasma membrane and increased Ca^<2+> accumulation into the dense tubular system." Thromb.Res.53. 99-108 (1989)
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[Publications] 藤村欣吾他: "血小板、好中球機能とレセプタ-異常[レセプタ-・レセプタ-後シグナル伝達系異常症]" 日本臨牀. 47. 1154-1164 (1989)
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[Publications] Fujimura k et al: "Platelet cytoskeletor analysis in Hemonsky-pudlak syndrome and thrombasthenia." Thromb & Haemost. 63. 103-111 (1990)