1989 Fiscal Year Annual Research Report
「アセトアルデヒド・蛋白」共有結合の解析によるアルコ-ル性肝炎発症機構の解明
Project/Area Number |
01570381
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
蓮村 靖 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40019956)
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Keywords | アルコ-ル性肝炎 / アセトアルデヒド / アルデヒド共有結合 |
Research Abstract |
アルコ-ル性肝炎は、過剰飲酒による肝細胞変性・壊死と炎症細胞浸潤の発生を特徴とし、次第に肝硬変へと進展する性格を示す炎症性で進行性の肝病変である。しかし、その成立機構は不明である。この点を明らかにする目的で、アルコ-ルの二次代謝産物で薬理生化学的に活性の高いアセトアルデヒドの障害性を細胞生物学に検索した。とくに、アセトアルデヒドが各種蛋白と共有結合することに着目して、このアセトアルデヒド・蛋白・共有結合の形成がアルコ-ル性肝炎の病態成立機構にいかなる役割を担っているかを分析した。1。肝細胞膜蛋白とアセトアルデヒドとの共有結合形成の検討:肝細胞膜蛋白がアセトアルデヒドと共有結合するのか否かを検討する目的で、ラットの遊離肝細胞を種々の濃度のアセトアルデヒドと37℃、2時間培養し、共有結合形成の形成をトリチウムでラベルしたシアノボロヒドリドで測定した。その結果、肝細胞膜はアセトアルデヒドと明らかに共有結合すること、この共有結合の形成はアセトアルデヒドの濃度依存的に増加していくことを明らかにした。2。共有結合した肝細胞膜に対する免疫反応の解析:肝細胞膜との共有結合に対する免疫反応の性状を知る目的で、共有結合に対する血中抗体を測定した。すなわち、ラットの経門脈的にアセトアルデヒド灌流60分後に単離したアセトアルデヒド処置肝細胞を標的として、プロテインA法で測定した。その結果、アルコ-ル性肝炎12例中10例に血中抗体が検出され、共有結合に対する免疫反応が生じていることが明示できた。3。アルコ-ル性肝炎のサプレッサ-T細胞機能の検討:上の抗生体産は免疫調整細胞系の機能異常を示唆するので、免疫調整細胞系の中心であるサプレッサ-T細胞の機能を測定した。その結果、本症では有意の機能低下が認められること、この低下は免疫調節薬のコルチコステロイドで改善可能なことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takaaki IKEDA: "In vitro effect of prednisolone on peripheral blood suppressor T cell activity in patients with alcoholic hepatitis" Clin.Imm.Immunopath,.,. 53. 225-232 (1989)
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[Publications] Namiki IZUMI: "Clinical significance of serum antibodies against alcohol-altered hepatocyte membrane in alcoholic liver disease" Alcoholism.Clin.Exp.Res.,. 13. 762-765 (1989)
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[Publications] Yoshinori SAKAI: "Immuno histochemical analysis of lynphocyte infiltrate in patients with alcoholic liver disease" Gastroent,Jpn.
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[Publications] Yasushi HASUMURA: "Lymphocyte infiltration in the liver in alcoholic hepatitis(Biomedical and Social Aspects of Alcoholism)" Elsevier Science Publ, 779-782 (1988)
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[Publications] Namiki IZUMI: "Immune Responce to acetaldehyde protein adducts(Biomedical and Social Aspects of Alcoholism)" Elsevier Science Publ, 335-338 (1988)