1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570388
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
藤山 佳秀 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70111896)
|
Keywords | 成分栄養療法 / 腸管粘膜免疫 / 免疫グロブリン |
Research Abstract |
成分栄養経腸療法の腸管粘膜免疫機能に及ぼす作用を明らかにする目的で、マウスを実験動物として成分栄養飼育による腸液中IgAおよびIgG濃度の変動を検討した。すなわち、Balb/cマウスを通常固形飼料(対照群)あるいは蛋白源をアミノ酸に置換した成分栄養液体飼料(ED群)にて飼育し、投与後2、4、および8週後に屠殺。小腸液ならびに大腸液をSBTI、PMSFを含むリン酸緩衝化生食水6mlを灌流して採取し、Enzymelinked immunosorbent assay(ELISA:sandwitch wethod)にてIgAならびにIiG濃度を測定した。E群の小腸液中IgA濃度は飼育2週間後が11.06±5.4、4週間後が17.18±4.55、8週後が10.55±8.36μg/mlと、対照群の22.37±8.43、19.58±7.57、16.31±10.04に比して低下する傾向を認めた。これに対して、ED群のIgG濃度は57.69±23.1(2W)、39.6±16.73(4W)、63.03±19.42(8W)と対照群の73.57±15.73(2W)、62.76±10.05(4W)、67.64±29.19(8W)に比して、4週までは減少の傾向を示すものの8週では差は消失した。大腸においても同様の傾向が認められているが、IgG濃度は8週ではED群が対照群を凌駕した(ED群61.94±8.30、対照群47.84±3.56μg/ml)。一方、小腸内総菌数は2週間後には対照群の5.02±2.97×10^5/mlに対して、ED群では1.89±1.52×10^6/mlと増加しており、とくに好気性菌群の増加が顕著であった。以上の結果から、窒素源をアミノ酸に置換した成分栄養療法によって腸液中IgA濃度は減少するが、これはIgGの増加、腸内細菌叢の増加をともなうことから、蛋白抗原刺激の減少による効果ではなく、腸粘膜免疫応答の機能低下を示唆するものと推察された。(VIth International Congress of Mucosal Immunologyにて発表の予定) 現在、この結果を踏まえて、成分栄養療法による腸管粘膜免疫機能低下機序を菌体膜成分に対する特異抗体活性、さらにはパイエル板リンパ球を用いたin vitro IgA産生の面から検討を加えている。
|