1989 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜上皮におけるフィブロネクチン関連物質の局在意義
Project/Area Number |
01570406
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
矢花 剛 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70045491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 吉宏 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40205571)
杉山 敏郎 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00196768)
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Keywords | フィブロネクチン / 胃粘膜上位 / 主細胞 / 胃粘膜防御機構 / 免疫組織学 / ウェスタンブロット法 / エタノ-ル潰瘍 |
Research Abstract |
1.申請者らは、生体に広く分布する血漿および組織フィブロネクチン(FNと略す)とは別に、胃粘膜上皮に分子量約7万のFN関連物質が存在する可能性と、各種ポリクロナ-ルおよびモノクロナ-ル抗FN抗体を用いたウェスタンブロット法によりその対応抗原を解析し、本物質がFN分子の細胞接着ペプチド(CBP)を含むC端フラグメントであることを明らかにした。さらにヒトでは分子量約7万のdoublet band,ラットではsingle bandと反応することより、対応抗原に種差もみられる可能性を明らかにした。 2.アフィニティクロマトグラフ法を用いてFN関連物質の単離・純化を試みているが、その量が低いこともあって、構造決定をみるまでに至っていない。さらに基礎的検討を重ね、明年度の研究の主目標にしたい。 3.各種モノクロ-ナル抗FN抗体を用いた免疫組織学的検討で、本物質が主として胃体部粘膜深層に分布する主細胞に局在し、それがCBPを含むC端フラグメントである可能性を突きとめることに成功した。さらに免疫電顕でも本物質が主細胞に局在する証拠をとらえつつあり、継続して基礎的検討を展開する予定である。 4.ラット・エタノ-ル潰瘍モデルを用いて、このFN関連物質がH_2受容体あるいは内因性プロスタグランディンを介して影響をうけている可能性を示唆する成績を得た。本物質が低濃度エタノ-ル胃内刺激に敏感に反応し、時間・濃度依存性に減少することから、胃体部粘膜の増殖帯ら深層にかけてH^+逆拡散の浸襲に対して、一部防御的機能を分担している可能性が推測された。 以上、本年度の研究計画にほぼ予定通り進展し、成果も十分上げられていると考えられる。さらに継続して本物質の胃粘膜上皮の細胞回転、細胞分化などとの関連性を追求する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 陳家倣: "胃粘膜内フィブロネクチン関連物質に関する免疫組織学的研究-ラット・エタノ-ル胃潰瘍モデルについて-" 札幌医学雑誌. 58. 379-390 (1989)
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[Publications] 一柳伸吾: "ウェスタンブロット法による胃粘膜ホモゲナ-ト中のフィブロネクチン関連物質の解析" Progress in Medicine. 10. 557-560 (1990)