1989 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いたB型肝炎発症機構の解析
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01570414
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山内 克巳 東京女子医科大学, 消化器内科, 講師 (00143420)
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Keywords | HBV / 慢性肝炎 / CTL |
Research Abstract |
本研究は、近年開発されたトランスジェニックマウスを用いてB型肝炎の発病の機構を免疫学的側面から解析する事を目的とする。これらのトランスジェニックマウスに於ける研究に先立ち、今年度はヒトのミエロ-マ細胞(ARH77)に2種類のHBV遺伝子(HBc抗原支配領域、HBs抗原支配領域遺伝子)の導入を試みHBs抗原とHBc抗原を表面に表出する2種類の遺伝子導入細胞の作製に成功した。これらのHBV-DNA導入細胞を標的細胞として用いて、慢性肝炎患者末梢血リンパ球の細胞障害機能を検討した。今回検討した慢性肝炎患者群(CH)はHBs抗原陽性のB型(B-CH)とHBV関連抗原がすべて陰性の非B型CH(NB-CH)を対象として検討した。 その結果、B-CH患者のリンパ球にHBV-DNA特異的キラ-T細胞が存在することが明らかとなった。さらにこのキラ-T細胞(CTL)は、標的細胞とHLAのクラス1抗原が一致するB-CH患者リンパ球においてのみ認められたことから、HBV関連抗原とHLAのクラス1抗原を同時に認識する機能を有する。このことは、抗HLAクラス1抗体によりこのCTL活性を阻止するという事実からも確かめる事ができた。これらの事実はHBV感染後発症した慢性肝炎患者中に、自己のMHA-クラス1抗原とHBs抗原とHBc抗原をそれぞれ認識する2種類のCTLが存在しているということを示している。今後これらのヒトリンパ球を用いた実験系をさらに進めていくと同時にマウスにおいても同様の実験系の確立を計りIn Vitroの実験系のみでなく、In vivoにおけるこれらCTLの役割についても解析を進めていく予定である。
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[Publications] Yumiko Kamogawa: "HBV-DNA transfectant-specific cytotoxic T cells in B-CH patients"
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[Publications] 山内克巳: "肝と免疫 最近の知見(各務伸一編)" 医療ジャ-ナル,