1989 Fiscal Year Annual Research Report
IDPN処置ラットを用いたジスキネジア発症機構の薬理化学的研究
Project/Area Number |
01570449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小川 紀雄 岡山大学, 医学部, 助教授 (90033208)
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Keywords | ジスキネジア / IDPN / ド-パミン系 / 側坐核 / D1レセプタ- / ムスカリン性アセチルコリン・レセプタ- / 老齢 |
Research Abstract |
iminodipropionitrile(IDPN)100mg/kgを連日7日間ラットの腹腔内に注射し、4週間後のものを生化学的実験に供した。 1.神経伝達物質およびその代謝産物:セロトニン(5ーHT)は減少していたが、その代謝産物5ーHIAAは視床・中脳、視床下部、小脳で著明に増加しており、5ーHT神経機構の機能亢進が疑われた。アセチルコリンとノルアドレタリン濃度はほとんどの脳部位で減少していた。ド-パミン(DA)およびその代謝産物はほとんどの脳部位で減少していたが、側坐核と視床・中脳ではDA代謝産物が増加しており、この部のDA神経機構の機能亢進がジスキネジア発症に特に関係が深いものと考えられた。 2.レセプタ-(R):オ-トラジオグラフィ-法と画像解析装置による定量法を用いてDA系のD1ーRとD2ーR、ムスカリン性アセチルコリンーR(MCR)とを検討した。その結果、D2ーRには何ら変化なく、D1ーRは線条体、側坐核、黒質で著明に減少していた。MCRは線条体、側坐核で減少していた。これらの変化は、神経伝達物質の変化から考えると、それぞれdownーregulation,upーregulationと考えられた。 3.ジスキネジア発症に及ぼす加齢の影響:2ー3カ月齢の若壮年ラットと24カ月齢の老齢ラットにIDPNを連日注射すると、老齢ラットの方が早月に発症することが判明した。これはヒトのジスキネジアが老人に多いことと現像的には一致した。 以上をまとめてみると、IDPN処置によって生じるジスキネジアはヒトのジスキネジアと同様に加齢によって発症しやすくなり、生化学的機序としては主として側坐核におけるDA神経機構の亢進によるものであり、少なくとも実験的にはレセプタ-側の変化は二次的なものであることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Mizukawa,K.et al.: "Alterations of muscarnic cholinergic receptors in the hippocampal formation of stressed rat:in vitro quantitative autoradiographic analysis" Brain Research. 478. 187-192 (1989)
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[Publications] Ogawa,N.et al.: "Effects of lisuride hydrogen maleate on ischemia-induced depletion of brain acetylcholine levels in gerbils" Clinical Therapeutics. 11. 241-246 (1989)
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[Publications] Ono,T.et al.: "The effects of hemorrhagic shock on thyrotropin-releasing hormone and its receptors in discrete regions of rat brain" Regulatory Peptides. 25. 215-222 (1989)
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[Publications] Sto,H.et al.: "Biochemical and pharmacological characterization of somatostatin receptors in rat brain" Res.Commun.chem.Pathol.Pharmacol.66. 203-218 (1989)
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[Publications] Ogawa,N,et al.: "Neurotransmiter and receptor alterations in the rat persistent dyskinesia medel induced by iminodipropioーnitrile" Eeuropean Neurology. 30(suppl.1). 31-40 (1990)
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[Publications] Haba,K.et al.: "The effects of shoーsaikoーtoーkeishiーka4shakuyakuーto(TJー960)on ischemiaーinduced changes of brain acetylcholine and monoamine levels in gerbils" Neurochemical Research.
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[Publications] 小川紀雄: "新治療薬ハンドブックー選びかたと使いかたー(清水喜八郎・中村治雄編著)" 中外医学社、東京, 30 (1990)
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[Publications] 小川紀雄: "脳循環・代謝改善薬(小川紀雄・村山正博著)" ライフ・サイエンス、東京, 111 (1990)