1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳細胞の老化・変性におよぼす酸化的ストレスの影響に関する研究ード-パミン代謝とグルタチオンとの関連について
Project/Area Number |
01570455
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
近藤 智善 順天堂大学, 医学部, 講師 (50103891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 之宏 順天堂大学, 医学部, 助手 (70162881)
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Keywords | dopamine / glutathione / methamphetamine / tyrosine hydroxylase / cysteinyl dopamine |
Research Abstract |
脳内の遊離ド-パミン(DA)の自動酸化過程で生じるfree radicalが細胞の老化・変性に関与するとの仮定のもとにDA遊離作用とmonoamine oxidase阻害作用のあるMethamphetamine(Metham)をラット(SD系)に投与し、DAの遊離、代謝とこのときに生じるglutathione(還元型glutathione・GSH、酸化型glutathione・GSSGの変化およびDAの中間自動酸化体semiquinone型DAとGSHの反応生成物cysteinyl-DAの増加の有無について検討した。またDA合成の律連酵素TH活性に及ぼすMetham連続投与の影響についても検討した。 Microdialysis法によって確認されたMethamによるDA遊離は15mg/Kg Metham投与後60〜120分が最大で、細胞外DAは約8倍に上昇した。8〜16週令ラットに15mg/Kg Methamを投与し、線条体ホモジネ-トで測定したDAの値は投与60分後には変化なく、120分後には59.6%に減少していたが、DAの代謝産物であるDOPACはMethamにより減少、一方の代謝経路上にある3-MTはDA、DOPACの減少にみあう増加がなく最終代謝産物HVAも不変で、代謝経路不明のDAの存在が示唆された。10mg/Kg Methamの連続投与によってTH活性は対照の71.5%と低下がみられたが、これは最近報告された他の研究者の値に近い。またこのTH活性の低下はあらかじめDAの合成を阻害することで防止されることから遊離DAに関連した変化と考えられている。 Glutathioneの変化は15mg/Kg Metham投与後60分で総glutathioneに占めるGSSGの比率が線条体で22%の増加傾向がみられたが、遊離DAの増大に比較すると大きな変化ではなかった。cysteinyl-DAの変化もDAの遊離にみあうほど大きなものは得られていない(現在追加実験中)。したがってglutathioneの変化に関しては他のDA遊離様式をとる薬剤reserpineを用いた実験を行い比較したいと考えている。 ひき続き今年度計画の実験の補充を行い、次年度の計画に沿った研究を進めたうえで課題に対する結論を出したい。
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