1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570456
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
清水 夏絵 帝京大学, 医学部, 教授 (80095017)
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Keywords | 眼球運動 / 脳皮質電位 / 運動準備電位 / ラムダ反応 / 陽性スパイク電位 / saccade / 随意運動 |
Research Abstract |
随意運動、眼球運動の脳内機序を知るためにまず正常人の眼球運動に伴う脳皮質電位を検討した。 方法は脳波と眼電図の多チャンネル同時記録を行い、眼電図をトリガ-として脳波を加算平均し、saccadeに伴う脳皮質電位を得た。脳波記録は国際10-20法に準じ、眼球運動は振幅10°のsaccadeをランダムに4-5秒に1回反復し、visually triggered saccade(VTS),auditory triggered saccade(ATS),voluntary saccade in light(VS),voluntary saccade in darkness(VSD)の4種類のタスクについて各々の脳波の加算平均を行った。分析時間とトリガ-前2.8秒、後1.2秒の計4秒で、少なくとも60回以上の加算平均した。対象は正常人12名(21-71歳)であった。その結果、眼球運動開始前の緩徐な陰性電位は運動開始前1.7-2.2秒、最大振幅1.6-6.4uVで、VTSでは1/9(11%)、ATSで4/6(67%)、VSで10/12(83%)、VSDで9/9(100%)に見られた。陽性スパイク電位は、運動開始前12-52msecで後頭部に最大振幅を有し、全てのタスクで見られた。ラムダ反応は後頭部優位にトリガ-後120-224msecに最大振幅を有したが、VSDでは見られなかった。これらの電位は垂直性saccadeでも同様に出現し、また、saccadeの振幅の大きさを10°、20°、30°と変化させると緩徐な陰性電位と陽性スパイク電位の振幅に影響を与えるようであった。 以上より1)眼球運動開始前の緩徐な陰性電位はVTS、ATSのような随意性の低いタスクより明析、暗所の随意性saccadeでよく出現し、運動準備電位と考えられた。2)ラムダ反応は暗所でのsaccadeでは見られず、視覚誘発電位と考えられた。3)陽性スパイク電位はすべてのタスクで見られたことから眼球運動そのものに関連した電位であると推定された。今後、パ-キンソン病など神経疾患におけるこれらの電位について検討する予定である。
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