1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570456
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
清水 夏繪 帝京大学, 医学部, 教授 (80095017)
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Keywords | 眼球運動 / 脳皮質電位 / 運動準備電位 / ラムダ電位 / 陽性スパイク電位 / saccade / パ-キンソン病 / 随意運動 |
Research Abstract |
前年度までのデ-タは、脳波の記録条件と脳波の加算方法に問題があることがわかり、本年度は正常人とパ-キンソン病患者についてデ-タの取り直しを行い、脳波の加算平均は手動で行い、ディスプレイ上で波形をチェックしてア-チファクトのあるデ-タをすべて除いた。対象は正常人23名、バ-キンソン病患者13名であった。 方法は、脳波と眼電図の同時記録を行い、眼球運動開始点をトリガ-点として、トリガ-前2.8秒、トリガ-後1.2秒を加算平均し、saccadeに伴う脳皮質電位を得た。眼球運動は振幅10°のsaccadeをランダムに4ー5秒に1回反復し、視覚誘発性saccade(VTS)、聴覚誘発性saccade(ATS)、随意性saccade(VS)、暗闇での随意性saccade(VSD)の4種類のタスクのうち、正常者は1ー3種類、パ-キンソン病患者はVTSとVSの2種類を行った。 その結果、正常人では、1)眼球運動開始前の緩徐な陰性電位(PSN)はトリガ-前1.8秒から始まり、Czに最大振幅を持ち、振幅は随意性の高いタスク(VS、VSD)で、低いタスク(VTS、ATS)より大きく、運動準備電位と考えられた。2)Presaccadic Slow Positivityはトリガー前90ー170ミリ秒に始まり、VSDでは遅れる傾向にあり、視覚刺激の処理に関与する電位であるとの説に矛盾しなかった。3)Spike Potentialは、saccadeの開始にほぼ一致して見られ、眼筋などに由来すると考えられた。4)λ電位は、VTS、VS、VSDの順に潜時が長く、振幅が小さくなり、視覚誘発電位と考えられた。5)右向きと左向きのsaccadeで、PSNは後頭部と前頭眼野部で左右差を認めた。 パ-キンソン病では、1)VSで正常者には100%見られるPSNが、12例中8例にしか見られず、大脳基底核の障害を反映していることが考えられた。2)PSNの振幅は正常者と同様に、VTSよりVSで大きかった。3)PSNの振幅は初期成分、後期成分ともに正常者と差がなく、パ-キンソン病で初期成分の振幅が減少するとの報告とは異なっていた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 清水 夏繪: "眼球運動関連脳電位" 神経眼科.
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[Publications] Natsue shimizu,Ryouichi Okiyrma: "Eye movement related cortical potentials in normal humans" Electroencephalography and Clinical Neurophysiology.
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[Publications] Natsue Shimizu,Ryouichi Okiyama: "Advances in Neurology" Raven Press,