1989 Fiscal Year Annual Research Report
動脈壁細胞の増殖機構に関する研究:発癌原生遺伝子の役割
Project/Area Number |
01570479
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
中井 継彦 福井医科大学, 医学部, 助教授 (40019609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笈田 耕治 福井医科大学, 医学部, 助手 (90203687)
林 多喜王 福井医科大学, 医学部, 助手 (00198847)
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Keywords | 培養血管平滑筋細胞 / インスリン・IGF-I / Ca拮抗薬 / phosphodiesterase inhibitor / adenylate cyclase activator / Prostaglandin E_1 / c -myc proto-oncogene / 細胞増殖 |
Research Abstract |
1.Wistarラット胸部大動脈中膜よりexplant法にて培養血管平滑筋細胞(SMC)を調整し、10%仔牛血清を含むMEM(minimum essential medium)で継代培養した。 2.(1)インスリン2×10^<-7>M以上およびIGF-I 4×10^<-9>M濃度以上でH^3-thymidineの取り込み量を指標としたDNA合成は濃度依存性の促進効果を示した。(2)Ca拮抗薬diltiazem10^<-8>〜2×10^<-5>MはインスリンおよびIGF-IのDNA合成促進作用を濃度依存性に抑制した。(3)^<45>Ca^<2+>取り込み量を指標としたCa^<2+> uptakeの測定より、インスリンおよびIGF-Iは濃度依存性にCa^<2+> uptakeを増加させ、Ca拮抗薬diltiazem 10^<-8>〜2×10^<-7>Mは両増殖因子のCa^<2+>uptake増加作用を濃度依存性に抑制した。 3.(1)phosphodiesterase inhibitor(cilostazol)はインスリン、IGF-I、1%仔牛血清(FCS)の増殖因子によるDNA合成促進作用を濃度依存性に抑制した。細胞数を指標として2日ごとに10%FCSによる培地交換を行なった際、1×10^< 5>Mのcilostazolは有意に細胞数増加作用の抑制効果を示した。(2)adenylate cyclase activator(forskolin)は1%FCS刺激によるDNA合成促進作用を濃度依存性に抑制した。(3)prostaglandin E_1誘導体(PGE_1-α-CD,Limaprost α-cyclodextrin clathrate)は1%FCS刺激によるDNA合成促進作用を濃度依存性に抑制した。 4.G_o期よりG_1期の細胞周期の変化により発現されるc-myc proto-oncogeneがインスリン2×10^<-6>Mにて発現の増加が認められることをnorthern blotting法にて明らかにした。 5.平成2年度の研究の展開として、インスリンによるc-myc発現の増加を、Ca拮抗薬・phosphodiesterase inhibitor、 adenylate cyclase activator、 PGE_1誘導体が抑制効果を示しうるかを研究する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藤原隆一 他: "インスリンおよびIGF-Iの培養血管平滑筋細胞のDNA合成促進効果--Ca拮抗薬の影響--" 脈管学. 29. 715-720 (1989)
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[Publications] 藤原隆一 他: "カルシウム拮抗薬の抗動脈硬化作用" 臨床科学. 24. 1326-1332 (1988)
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[Publications] 藤原隆一 他: "カルシウム拮抗薬の抗動脈硬化作用" 医薬ジャ-ナル. 25. 1467-1474 (1989)
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[Publications] Takio Hayashi et al: "The adrenal and Hypertension:From Cloning to Clinic" Raven Press,New-York, 397-401 (1989)
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[Publications] 藤原隆一 他: "糖尿病性合併症 Vol.2" メディカル ジャ-ナル社, 98-103 (1989)