1989 Fiscal Year Annual Research Report
副腎11β水酸化酵素欠損症の遺伝子解析と成人発症型の病態の解明
Project/Area Number |
01570496
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 康平 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (80109678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 英生 熊本大学, 医学部, 講師 (80145325)
榊田 典治 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50170577)
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Keywords | 副腎 / 副腎皮質酵素欠損症 / 先天性副腎皮質肥大 / 11β水酸化酵素欠損症 / サザンブロット法 |
Research Abstract |
目的:非古典的・成人発症型の副腎11β水酸化酵素欠損症の内分泌学的診断法ならびに遺伝子の異常につき検討を行う。対象:デオキシコルチコステロン(DOC)および11-デオキシコルチゾル(S)の軽度高値並びにデキサメサゾン負荷による諸種ユルチコステロイド(特に副腎アンドロジェン)の正常化および血圧の下降より診断した11β水酸化酵素欠損症の2従兄弟例およびその家系内の高血圧者6名を対象とした。方法:ACTH25μgを静注し、その前および15分後に採血し、血中DOC、コルチコステロン(B)、S、コルチゾル(F)を測定し、DOC/B比、S/F比を観察した。また、米国コ-ネル大学Dr.Whiteより入手したp450c_<11>のcDNAを用い、サザンブロット法にて、患者および家族の遺伝子分析を行った。結果:基礎値のS×10^3/Fは高血圧者で8.2±4.2(正常対照群3.7±1.5P<0.001)、DOC×10^2/Bは高血圧者で10.5±6.7(正常対照群5.5±2.4、P<0.001)であり、いずれも正常対照群より有意に高値であった。また、ACTH静注後のSx10^3/Fは高血圧者で7.2±13.9に、正常対照群では3.5〜6.4にそれぞれ分布し、平均値も有意差があった(10.5±3.4vs5.4±1.3、P<0.01)。サザンブロットは、MspI、PstI、yhoI、BomHI、BglII、Sma+BamHI、HidIII、PvaII、EcoRIなどの制限酵素を使用して行ったが、現在までのところ疾患に関連した異常は見出されていない。しかし、MspIを使用した分析によりポリモルフィズムが観察されており、その意義、一般人におけるその頻度など検討中である。考察:非古典的な11β水酸化酵素欠損症の診断基準としてはこれまで確立されたものはなかった。本研究で示された結果より、少量のACTH負荷により11β水酸化酵素の前後のステロイドの比をみることが本症の診断上有用であることが判った。また、本症では大きな遺伝子の異常は存在しない可能性が高く、むしろ、点突然変異による酵素異常の可能性が高いと思われる。
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Research Products
(1 results)