1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570501
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
後藤 英司 横浜市立大学, 医学部, 講師 (30153753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
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Keywords | 脳性ナトリウム利尿ペプチド / 高張食塩水 / 脳室内投与 / 動脈圧 / ラット |
Research Abstract |
循環調節において視床下部、延髄は重要な役割を担っている。最近脳における心房性ナトリウム利尿ペプチドの循環調節上の役割が注目されており、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の発見により、本ペプチドの脳での働きの解明が期待されている。我々は平成元年、2年度にブタ、ラットBNPの動脈血圧、血中バゾプレッシン濃度、圧受容体反射に及ぼす影響について検討し、BNPは正常ラットでは降圧作用に関し特異的な影響を与えないことを報告した。今年度は高食塩食餌育により血圧が上昇するDahlラットを用い、食塩感受性ラットにおけるラットBNP脳室内投与の血圧、バゾプレッシン濃度に及ぼす影響を調べた。 1.7〜8週齢の雄性Dahl食塩感受性(S)、抵抗性(R)ラットを対象として第三脳室にラットBNPを注入して動脈圧、心拍数を記録し、他のラットでBNP注入後に断頭採血して血中バゾプレッシン濃度を測定した。Sラットでは4%食塩食で血圧は高値を示し、BNPの脳室内投与により高用量の場合は降圧がみられた。しかしこの用量を静脈内に投与した場合に同様の降圧がみられた。血中バゾプレッシンはSラットで正常範囲にありBNPを中枢に投与しても変化はみられなかった。 2.Dahl S,Rラットを対象にBNP脳室内投与の圧受容体反射に及ぼす影響を検討した。フェニレフリン静脈内投与に伴う血圧と心拍数の関係から圧受容体反射機能をSとRで比較したところ、高血圧を呈したSラットで機能低下を認めた。BNPを第三脳室に注入して反射機能を調べたが、血圧低下をきたさない用量では機能に変化を認めなかった。 以上食塩感受性高血圧ラットでBNP中枢投与の血圧、圧受容体反射に及ぼす影響をみたが、中枢投与に特異的な影響はみられなかった。最近BNPは脳に特異的なペプチドではないとの報告があり、中枢性の作用も小さい可能性がある。
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