1989 Fiscal Year Annual Research Report
骨の成長、成熟過程における成長因子のパラクリン作用と性ホルモンの関与について
Project/Area Number |
01570519
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
大山 建司 山梨医科大学, 医学部, 講師 (80051861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 美子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20198055)
藤本 昌敏 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20156912)
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Keywords | 成長軟骨 / 静止軟骨 / アロマタ-ゼ活性 / 5α-リダクタ-ゼ活性 / エストロゲン |
Research Abstract |
生後2週齢日本白色種家兎肋軟骨を成長軟骨層と静止軟骨層に分けて採取し、恒温振とう培養器内でトリプシン処理、次いでコラゲナ-ゼ処理して遊離軟骨細胞を作製した。10%FBS加MEM培養液中で初代培養し、14日後に実験を行った。アンドロステンジオン添加による軟骨細胞のエストロゲン合成は8時間インキュベ-ションまで直線的に増加した。6時間インキュベ-ションでアンドロステンジオン添加量を変えてエストロゲン合成を検討すると、性差は認めないものの、Vmaxは静止軟骨に比し成長軟骨で有意に高値であった。アロマタ-ゼ活性も成長軟骨が有意に高値であった。5α-リダクタ-ゼ活性は性差はなく、成長軟骨、静止軟骨でも差を認めなかった。外陰部皮膚線維芽細胞のアロマタ-ゼ活性がグルココルチコイド添加による誘導されることは既に報告したが、今回軟骨細胞で同様の検討を行い、グルココルチコイドによるアロマタ-ゼ活性の誘導が認められ、特に雌家兎成長軟骨で雄に比し誘導活性が高値であった。 以上の結果から、1.軟骨細胞においてもアロマタ-ゼ活性が存在し、2.アロマタ-ゼ活性は静止軟骨に比し成長軟骨で高値を示し、3.グルココルチコイドによるアロマサ-ゼ活性の誘導に性差があることが明らかとなった。 骨の成長、成熟には成長ホルモン、成長因子、性ホルモン、甲状腺ホルモンが強く関与している。今回の結果は性ホルモンの作用に関して、軟骨細胞内で産生されたエストロゲンがパラクリン作用により、軟骨、骨細胞の成熟に関与している可能性を示しており、アロマタ-ゼ活性に性差が認められたとこは、女児で骨成熟が早いこととも一致している。来年度はアロマスタ-ゼ活性、5α-リダクタ-ゼ活性と成長因子の関係、さらに加齢による両活性の変動について検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 矢守利次,藤本昌敏,大山建司 他: "培養軟骨細胞におけるアロマタ-ゼ活性及び5α-レダクタ-ゼ活性について" 日本内分泌学会雑誌. 65. 886- (1989)
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[Publications] 藤本昌敏,矢守利次,大山建司 他: "培養軟骨細胞における性ステロイドホルモン合成について" 第23回日本小児内分泌学会抄録集. 42- (1989)
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[Publications] Fujimoto,M.et al.: "Time-dependent Biphasic response of aromatase to Dexamethasone in cultured human skin fibroblasts." J.Clin.Endocrinol.Metab. 63. 468-474 (1986)