1990 Fiscal Year Annual Research Report
骨の成長、成熟過程における成長因子のパラクリン作用と性ホルモンの関与について
Project/Area Number |
01570519
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Research Institution | Yamanashi Medical College |
Principal Investigator |
大山 建司 山梨医科大学, 医学部, 講師 (80051861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 昌敏 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20156912)
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Keywords | アロマタ-ゼ活性 / IGFーI / 軟骨細胞 / 成長軟骨 / 骨成長 / 身長発育 / エストロゲン / 5αーレダクタ-ゼ活性 |
Research Abstract |
小児の身長発育に直接的に関係しているのは骨特に長管骨の成長、成熟である。骨の成長、成熟には種々のホルモンが複雑に関与しているが、その作用部位、作用機序については不明の点が多く残されている。本研究では、身長発育に最も関係が深いと考えられているIGFーIと性ホルモンの軟骨細胞への作用を検討することを目的とし、本年度は軟骨細胞におけるアロマタ-ゼ活性を有無と、それに及ぼすIGFーI影響を検討した。軟骨細胞培養とアロマタ-ゼ活性測定の基礎的検討は昨年度に行った。本年度は以下の結果が得られた。 1.アロマタ-ゼ活性は前肢骨成長軟骨で最も高く、以下肋軟骨成長軟骨、肋軟骨静止軟骨の順であった。 2.培養軟骨細胞へのデキサメタゾン添加による前処置でのアロマタ-ゼ活性が誘導された。アロマタ-ゼ活性誘導は、(1)と同様の順で高く、またいずれの軟骨細胞においても、雌が有意に高い性差が認められた。 3.軟骨細胞へのIGFーI添加により、アロマタ-ゼ活性に変化は認められず、IGFーIはアロマタ-ゼ活性誘導には関与していないと考えられた。 軟骨細胞にアロマタ-ゼ活性が存在し、特に成長軟骨でその活性が高いことは、軟骨細胞内でエストロゲンが産生され、そのパラクリン作用又はオ-トクリン作用により、骨の成長、成熟に関与している可能性が強いと考えられる。またIGFーIのDNA合成促進をエストロゲンが増強するという報告を支持する結果である。デキサメタゾンによるアロマタ-ゼ活性誘導の性差は、女児の骨成熟は男児より早いという臨床所見とも一致しており、エストロゲン主として骨成熟に関与している可能性を示している。今後は性ホルモンと他の成長因子との軟骨細胞に対する作用を検討し、また加齢による性ホルモン作用の変化を検討していく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大山 建司: "男児の血漿総SomatomedinーC濃度、血清Testo sterone濃度の加齢変化に関する検討" 日本小児科学会雑誌. 93. 270-275 (1989)
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[Publications] 矢守 利次: "骨の成長、成熟に及ぼす性ホルモンの影響に関する研究" 日本小児科学会雑誌. 95. 47-54 (1991)
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[Publications] 大山 建司: "成長の異常ー身長と骨年齢" 小児科臨床. 42. 789-797 (1989)
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[Publications] 藤本 昌敏: "Cyproterone acetateの培養外陰部皮膚線維芽細胞aromatase活性に及ぼす影響に関する研究" 日本内分泌学会雑誌. 65. 585-602 (1989)
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[Publications] 大山 建司: "小児科Mook(59):性の分化と成熟の異常" 金原出版(編集), (1990)