1990 Fiscal Year Annual Research Report
先天性免疫不全症由来B前駆細胞株に認められるIg重鎖領域DNA再構成異常の解析
Project/Area Number |
01570523
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Research Institution | Nagoya University School of Medicine |
Principal Investigator |
松岡 宏 名古屋大学, 医学部, 助手 (50157278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 政功 名古屋大学, 医学部, 助手 (30200744)
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Keywords | 先天性免疫不全症 / B前駆細胞株 / DNA再構成 / レコンビナ-ゼ / 重症複合免疫不全症 / 伴性無ガンマグロブリン血症 / Common variable immunodeficiency |
Research Abstract |
平成2年度には、以下の研究を行ない成果を得た。 1).SCID(重症複合免疫不全症)患者からのB(前駆)細胞株の樹立:既に作成していたものに加えてSCID患者、計8名(1名はOmenn病)より、前年度に開発したEBウイルスによる形質転換細胞株作成法を用いてB(前駆)細胞株を131株樹立した(6名については末梢血、2名は骨髄細胞より樹立)。 2).細胞株表面形質の検討:モノクロ-ナル抗体による細胞表面抗原の解析から、「T,B細胞ともに著減したSCID」患者骨髄由来の6種の細胞株が表面免疫グロブリン陰性で、B前駆細胞株と考えられた。 3).免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子再構成の検討:SCID細胞株よりDNAを抽出しJ_Hプロ-ブを用いてサザン法で検討した結果、上記6株中1株(SCID86730株)のIgHーJ領域は胎児型で、IgH遺伝子再構成は起きていないことが判明し、本疾患の病因にレコンビナ-ゼ異常が関与していることが示唆された。 4).再構成活性化(RAGー1)遺伝子の検討:レコンビナ-ゼ系酵素として1989年報告されたRAGー1遺伝子のメッセ-ジ発現について前年度および今年度作成した細胞株を対象として逆転写酵素ーPCR法を用いて検討した結果、SCID86730のサブクロ-ンSCID213、221ではRAGー1 mRNAを認めず、SCID86730ではRAGー1 mRNA発現を認めた。 5).レコンビナ-ゼ活性の測定:前年度作成した2種類のベクタ-はEBウイルス細胞株でのNeo遺伝子発現効率が悪かったため、さらに改良しEBウイルス遺伝子をプロモ-タ-とする環状ベクタ-を作成し、マ-カ-遺伝子発現を、より短時間にPCR法で測定する方法を変更し検討した。
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