1990 Fiscal Year Annual Research Report
ロタウイルス胃腸炎の予防法に関するウイルス学的ならびに免疫学的研究
Project/Area Number |
01570540
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Research Institution | Sapporo Medical College |
Principal Investigator |
中田 修二 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70155745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇加江 進 札幌医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | ロタウイルス胃腸炎 / ロタウイルスワクチン / 発症防御効果 / 干渉現象 / 随伴免疫応答 / ポリオウイルスワクチン |
Research Abstract |
サルロタウイルス由来のワクチンMMUー18006株(血清型3、以下RRV)を接種した後に、血清型1のロタウイルス野性株による胃腸炎の流行に遭遇し、その予防効果について検討した。ワクチン歴から対象乳児をブ-スタ-接種群、1回接種群と非接種群に分けて検討したところ、ほぼ全員が感染を受けたが発症率はそれぞれ20.0%、56.3%、80.6%とワクチン接種歴により発症防御効果に差がみられた。また、対象乳児を発症群と非発症群に分けて流行前血清中和抗体価を検討すると、非発症群では血清型1に対して有意に高い抗体価を有したが血清型3に対しては差がなく、発症防御は血清型特異的であることが再確認された。血清型1と3のロタウイルスに対する血清中和抗体価を経時的に検討した結果、ブ-スタ-群の血清型1に対する流行前平均血清中和抗体価は他の2群より有意に高く、ワクチン接種による1型株に対する随伴免疫応答の効果が考えられた。しかし、個人ごとの推移では随伴上昇率は40%であり、腸清中和抗体価だけでは説明できなかった。今後、血管免疫や1型ロタウイルスの中和エピト-プに対する特異的抗体反応等の検討が必要と思われる。 中央乳児院においてRRVワクチンとポリオウイルス(PV)ワクチンの同時接種を行った。接種対象者はPVワクチンの初回ならびに2回目の接種対象者で、ワクチン投与前と投与後1カ月に血清を採取した。今回の研究以前にRRVもしくはPVワクチンを投与されたものを各ワクチンの単独投与群とした。両ウイルスに対する抗体獲得率からみると両ワクチンとも互いに干渉しないことが示されたが、ロタウイルスにつしてはこれまでの結果と比較して1型に対する随伴上昇が殆ど見られなかった。各血清型間の交差免疫に関しては不明な点も多いが、将来有効なロタウイルスワクチンが開発された場合、PVワクチンとの同時投与の可能性が示唆された。
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