1990 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤誘導性の自己免疫性皮膚疾患における自己反応性T細胞の病因論的解析
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01570570
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池沢 善郎 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (90046128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 哲夫 横浜市立大学, 医学部, 助手 (10170680)
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Keywords | SH基含有薬剤 / GVHD型薬疹(反応) / IFNγ / TNFα / 表皮ランゲルハンス細胞 / 角化細胞のHLAーDR / 角化細胞のBP抗原 / スロットブロットハイブリダイゼ-ション |
Research Abstract |
1)前年度に、活性化T細胞が遊離する代表的な炎症性サイトカインのIFNγは、BALB/c由来表皮角化細胞株のPAM212細胞において、Ia抗原(ヒトのHLAーDRに相当)の発現を誘導すると共に、水疱性類天疱瘡(BP)患者血清中の自己抗体と反応するBP抗原の発現を増強することをフロ-サイトメトリ-により明らかにしたが、今年度はこのBP抗原発現の増強をスロットブロットハイブリダイゼ-ションによりメッセンジャ-RNAのレベルで明らかにした。 2)SH基含有薬剤のtiopronin(TP)感作マウスの足蹠にTNFαとIFNγ(TI)を局注(4回)してからTP感作脾臓細胞(SC)やTP感作リンパ節細胞(LC)をTPでパルスしたもの(TPーtsSC/tsLC)を同部位に局注した場合、7日後の生検で災症性細胞の血管周囲性浸潤と表皮向性浸潤、表皮の空胞変性、さらに表皮の好酸性壊死などのいわゆる急性の皮膚GVHD(移植片対宿主病)に一致する組織所見が見られた。これに対してTPーtsSCとTIどちらが一方のみの局注では、DTHR(遅延型過敏性反応)型の炎症反応が特に後者の場合に見られたが、皮膚GVHD型反応の指標になるとされている表皮の好酸性壊死の組織所見はほとんど見られなかった。また無感作マウスの足蹠にTIとTPーtsSC/tsLCを一緒に局注した場合にも、GVHD型反応が見られたが、TIのみ局注や完全アジュバント(GFA)感作SC/LCをTPでパルスしたTPーcsSC/csLCとTIの局注では見られず、DTHR型反応しか見られなかった。以上よりSH基含有薬剤過敏症による皮膚GVHD型反応の誘導にTIすなわちTNFαとIFNγが果たす役割が示唆された。 3)発疹型と組織所見から急性ないし慢性GVHD型と急性DTHR型とした薬疹の免疫組織学的検討により、急性GVHD型薬疹では、骨随移植後や輸血後に見られる急性皮膚GVHDと同様に、表皮内にけるCD8陽性T細胞浸潤の優位、CD1陽性表皮ランケルハンス細胞の消失・減少、IFNγとTNFαの効果とされる表皮角化細胞におけるHLAーDRやICAMー1の発現などが観察された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ikezawa Z,Kitamura K,Nakajima H: "Gold sodium thiomalate(GTM)induces hypersensitivity to thiomalate,the thiol carrier of GTM" The Journal of Dermatology. 17. 550-554 (1990)
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[Publications] 大沢 純子: "SH薬剤感作マウスリンパ球の抗原刺激に対するILー2反応性の検討ー蛍光色素を用いた生細胞数迅速測定法の応用" 日本皮膚科学会誌. 100. 1235-1240 (1990)
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[Publications] Osawa J,Kitamura K,Ikezawa Z,Nakajima H: "A probable role of vaccines containing thimerosal in thimerosal hypersensitivity" Contact Dermatitis. 20. (1990)
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[Publications] Kitamura K,Osawa J,Ikezawa Z: "Crossーreactivity between hypersensitivity to thimerosal and photohypersensitivity to piroxicam in guinea pigs" Contact Dermatitis. 20. (1991)
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[Publications] Suguta Y,Nagatani T,Ikezawa Z,Nomura K,Watanabe Y,Uitto J,Nakajima H: "Modification of bullous pemphigoid antigen protein and gene expression by γーinterferon" Journal of Investigative Dermatology. (1991)
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[Publications] 北村 和子、大沢 純子、池沢 善郎、中嶋 弘: "SH基含有薬剤によるGVHD様反応の誘導に及ぼすIFNγとTNFαの効果" 日本皮膚科学会誌.
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[Publications] 池沢 善郎: "実験的薬疹" 現代皮膚科学大系、年刊版'88ーB、中山書店, 117-135 (1988)
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[Publications] Ikezawa Z,Aihara M and Kitamura K: "Drugーinduced rashes in guinea pigs" Models in Dermatology IV edited by Maibach HI and Lowe NJ,Karger,Basel, (1989)