1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570571
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
安野 洋一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20079908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 佳弘 京都府立大学, 医学部, 助手 (50202908)
山西 清文 京都府立大学, 医学部, 助手 (10182586)
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Keywords | 皮膚腫瘍 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 点突然変異 / ゲノム解析 / PCR |
Research Abstract |
ヒト細胞の腫瘍化には、ゲノムの特定の遺伝子構造の異常、即ち癌遺伝子の活性化および癌抑制遺伝子の欠失が密接に関与することが示唆されている。皮膚科学では多種の皮膚腫瘍を研究対象としているが、その発症の分子機構に関しては未だ不明な点が多い。本研究では、これら皮膚腫瘍組織のゲノムにおける癌遺伝子・癌抑制遺伝子構造の異常を解析し、腫瘍の起源、分化度、悪性度、および転移性などの病理学的な指標との関係を明らかにすることにより、皮膚腫瘍の病態を遺伝子レベルで理解することを目的としている。平成元年度の研究では、癌遺伝子のなかで、化学発癌物質により誘発されたマウスの乳頭腫やヒトのケラトアカント-マにおいて点突然変異による活性化が高率に見出されている癌遺伝子Ha-rasに注目し、種々のヒト皮膚腫瘍ゲノムにおけるHa-rasの点突然変異の解析を試みた。まず、61種の皮膚腫瘍のパラフィン包埋組織から腫瘍実質に相当する部分を選び、その5-10μmの切片からDNAを抽出し、Ha-ras遺伝子の12及び61番目のコドンを含むそれぞれ50、70bpのDNA領域をpolymerase chain reaction(PCR)(50サイクル)により増幅した。これまで他臓器の腫瘍において最も検出される頻度の高い点突然変異であるG→T、A→T transversionを検出する合成DNAでロ-ブをもちいてハイブリダイゼ-ションを行った。その結果、基底細胞上皮膜におけるコドン61の点突然変異を初めて見出した。Ha-rasの点突然変異にはこれ以外の塩基置換の可能性もあり、多検体を処理するために、現在、single strand conformation polymorprism(SSCP)を利用して、スクリ-ニングを行っている。平成二年度には、癌抑制遺伝子p53遺伝子の異常の解析と表皮細胞由来の皮膚悪性腫瘍におけるloss of heterozygosity(LOH)の検索を予定している。
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Research Products
(1 results)