1989 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚の炎症におけるプロテア-ゼとプロテア-ゼ阻害物質の役割
Project/Area Number |
01570573
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
伊崎 誠一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70118206)
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Keywords | 慢性肉芽腫性炎症 / 類上皮細胞 / 血管内皮細胞 / 表皮細胞 / プロテア-ゼ / プロテア-ゼ阻害物質 / 凝固・線溶系 |
Research Abstract |
臨床研究を新しく開始した平成元年度に、研究者は、正常皮膚、種々の慢性肉芽腫性炎症(皮膚サルコイド-シス、慢性播種状粟粒性狼瘡、環状肉芽腫など)および幹癬、掌蹠膿疱症などの皮膚生検材料を用いて、主として免疫組織化学的に、プロテア-ゼならびにプロテア-ゼ阻害物質の局在の変動を追及した。 用いた抗体は、抗血漿カリクレイン、抗組織カリクレイン、抗キニノ-ゲン、抗ウロキナ-ゼ型プラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-(uPA)、抗組織型プラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-(tPA)、1型PAインヒビタ-(PAI-1)、2型PAインヒビタ-(PAI-2)であった。その他関連する物質として抗ラミニン、抗フィブロネクチン、抗コラ-ゲンI、III、IVなどを合わせて用いた。 主に凍結切片を用いた。6μMの切片に種々の濃度に希釈した上記一次抗体を反応させ、二次抗体を反応せしめ、酵素抗体関接法あるいはABC法にて発色せしめた。その結果次のような興味ある知見を得た。 1)乾癬表皮にカリクレインが存在し、以前の生化学的研究で得られた成績を確認し、カリクレインの皮膚の炎症に関わる示唆が得られた。 2)慢性肉芽腫性炎を構成する類上皮細胞に、uPAおよびPAI-2が存在し、細胞遊走や炎症組織再構築にかかわるこれらの物質の役割を強く示唆した。この成績は、以前の生化学的研究と矛盾がない。 3)炎症組織を構成する血管内皮にtPAおよびPAI-1が明らかにしめされ、これらの物質の血管を中心とする炎症における役割が強く示唆された。 4)表皮のuPA、tPA、PAI-1、PAI-2の変動がみられた。又皮膚付属器におけるこれらの物質の局在に特徴があり、次年度以降の基礎的研究レベルに向かってのヒントが得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.Izaki,T.Hibino,O.Tanji,P.S.Hsu,I.Segawa and S.Kon.: "Modulation of plasma and tissue kallikreins in psoriasis vulgaris psoriasis pustulosa." Dermatologica(Suppl.1). 179. 116-117 (1989)
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[Publications] O.Matsuo,H.Fukao,S.Izaki,C.Matsuo and S.Ueshima.: "Production and characteristics of single-chain tissue-type plasminogen activator produced by an established cell line from human uterine muscle." Cell Structure and Function. 14. 45-60 (1989)
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[Publications] S.Izaki,O.Tanji,M.Okuma,H.Shimoda,N.P.S.Hsu-Oyama,T.Hibino,and K.Kitamura.: "IA-antigen positive epithelioid cells in experimental granulomatous inflammation" Journal of Dermatological Sciences.
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[Publications] 伊崎誠一,瀬川郁雄,丹治修,大山展毅,昆宰市: "マクロファ-ジの分化と分泌:ヒトの培養細胞とヒトの肉芽腫性炎組織を用いた研究" 日米医学協力計画報告書、らい専門部会.
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[Publications] 中村浩昭,瀬川郁雄,大山展毅,伊崎誠一,昆宰市: "Linear Porokeratosis" 皮膚病診療. 11. 871-874 (1989)
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[Publications] 遠藤直樹,伊崎誠一,間山諭,大山展毅,磯崎泰政,昆宰市: "Generalized Morpheaの2例" 皮膚科の臨床. 印刷中.
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[Publications] 伊崎誠一: "実験的肉芽腫、現代皮膚科学大系年刊版、'89B、編者:石橋康政、今村貞夫、田上八朗、吉川邦彦" 中山書店(東京), 222-229 (1989)
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[Publications] 伊崎誠一: "血漿蛋白異常性紫斑、およびアナフィラクトイド紫斑、今日の皮膚疾患治療指針、編者:池田重雄、今村貞夫、大城戸宗男、荒田次郎" 医学書院(東京), 135-136 (1989)