1990 Fiscal Year Annual Research Report
表皮内 interleukinー1(IL-1)の役割
Project/Area Number |
01570577
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
溝口 昌子 帝京大学, 医学部皮膚科, 教授 (30010250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 修一 帝京大学, 医学部皮膚科, 助手 (80130037)
河 陽子 帝京大学, 医学部皮膚科, 助手 (10082273)
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Keywords | ILー1α,β / ケラチノサイトの増殖 / ケラチノサイトの分化(角化) |
Research Abstract |
今回は「Interleukin1(ILー1)αおよびβの培養ケラチノサイトの増殖・分化に与える影響」を検討した。1.目的。これまでの検討で、免疫組織学的にケラチノサイト由来腫瘍細胞内にILー1αおよびβが共に検出され、活性測定では主としてαが検出された。しかし、ILー1は細胞内では前駆体型で存在し、前駆体型はαしか活性が無いため固形腫瘍を材料とした場合に成熟型ILー1の機能をみるのには限界がある。そこで今回成熟型であるリコンビナントILー1(rILー1)αおよびβを使用し、培養ケラチノサイトの増殖・分化に与える影響をみた。2.方法。有棘細胞癌由来細胞株(HSCー1)を培養し、DNA合成をみて増殖の指標とした。分化(角化)は、正常ケラチノサイト培養細胞(NHEK)を用い、抗ケラチン蛋白抗体を使用して酵素抗体法やWesternblotting法を行い角化の程度を検索した。3.結果。1)細胞増殖:HSCー1をrILー1αとβをそれぞれ0.1から100ng/m1添加培養し、 ^3Hーチミジンの取り込みをみた。αは25ng/m1、100ng/m1の濃度で増殖抑制がみられたが、β添加培養では同じ濃度で抑制効果はなかった。2)角化:a)抗ケラチン抗体のうち認識する抗原によりPKKー1は基底層を陽性に染め、MAー904は基底層を除く有棘層全体を染める。また抗インボルクリン抗体は顆粒層を抗フィラグリン抗体は顆粒層と角化層を染める。この性質を利用し、NHEKを用いILー1αおよびβ添加培養を行って、これらの抗体で染色性を検討した。ILー1αを添加した系で角化が進行している傾向がみられた。b)Western blotting法による検討では、ILー1αの方が角化を促進させる可能性を示唆する所見を得た。3)LAF活性:rILー1αとβの効果に差をみたため、ILー1の生物学的活性の1つであるLAF活性を測定したが両者の間に有意の差は無かった。4.考察。ILー1αの方により強い増殖抑制効果および角化亢進作用があるという今回の反応の差が、実際にin vivoで反映されているかを今後検討したい。
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Research Products
(2 results)