1989 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン断層による新しい放射線治療効果判定法の基礎研究
Project/Area Number |
01570582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪田 和雄 東北大学, 抗酸菌病研究所, 講師 (40161674)
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Keywords | ポジトロン断層 / がん治療効果判定法 / 放射線治療 / ^<11>C-メチオニン / がんの代謝診断 / 腫瘍核医学 |
Research Abstract |
標識アミノ酸、特に^<11>C-メチオニンの腫瘍への取り込みは、腫瘍のアミノ酸代謝の指標として腫瘍細胞の生死を直接反映し、鋭敏な放射線治療の指標となる可能性があり、しかも、ポジトロン断層装置により、画像診断化ができる。^<11>C-メチオニンの腫瘍集積が放射線治療によりどう変化し、病理組織像、更に従来から治療の指標とされた腫瘍体積とどのように関連するかを明らかにし、新しい放射線治療効果判定法の基礎を確立するために研究を行った。AH109Aラット実験腫瘍にコバルト60によるγ線20グレイ1回照射を行うと、1.腫瘍体積は、10日後に照射前の約半分に縮小する。2.腫瘍組織中の壊死部分は、3日後に、全腫瘍組織の半分に拡大する。3.^<11>C-メチオニンの腫瘍集積は、12時間後に、照射前の約半分に減少する。すなわち、放射線照射後、^<11>C-メチオニンの腫瘍集積が最も速く低下し、次に細胞の壊死が見られ、最後に腫瘍体積が変化することがわかった。次に照射線量との相関を調べた。照射線量を5グレイ、10グレイ、20グレイと増加するにつれて、^<11>C-メチオニンの腫瘍集積はコントロ-ルと比較して有意に低下し、明らかな線量依存関係が認められた。腫瘍におけるアミノ酸代謝の亢進は以前から知られており、これを応用したポジトロン断層によるがん診断の臨床研究を我々は開発してきた。本研究により、腫瘍のアミノ酸代謝の診断が、病理組織所見、腫瘍体積などに比較して、非常に鋭敏なすぐれた治療効果判定法であることが動物実験で明らかになった。次年度は、腫瘍再発の早期診断について、また、糖代謝薬剤^<18>Fフルオロデオキシグルコ-ス、および核酸代謝の指標として^3Hチミジンなどとの比較研究を行ない、より詳細かつ多角的に、研究を進展させる予定である。
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[Publications] Kazuo Kubota: "Rapid and sensitive responce of Carbon-11-L-Methionine Tumor uptake to irradiation" Journal of Nuclear Medicine. 30. 2012-2016 (1989)
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[Publications] 窪田和雄: "ポジトロン断層による新しい癌治療効果判定の基礎" 病態生理. 9. 151-153 (1990)
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[Publications] Kazuo Kubota: "Evaluation of radiation effects on tumor by the uptake of L-〔methyl-^<11>C〕methionine" Journal of Nuclear Medicine. 30. 739 (1989)