1989 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘発性鬱病モデルラットの脳ノルアドレナリンニュ-ロンの形態的機能的可塑性
Project/Area Number |
01570603
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野村 純一 三重大学, 医学部, 教授 (10024720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 澄夫 三重大学, 医学部, 助手 (70200285)
大谷 正人 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (80185298)
北山 功 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (70024784)
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Keywords | ストレス / 鬱病モデル動物 / ノルアドレナリンニュ-ロン / 青斑核 / 超微形態学 / 電気生理学 / in situ viewing / 可塑性 |
Research Abstract |
鬱病の発病には慢性的なストレスが関わっていると思われることから、当教室ではラットに長期(12+2日)の強制歩行ストレスを負荷して、鬱病モデルラットを作成してきた。このモデル動物の青斑核ノルアドレナリン(NA)ニュ-ロンでは、これまでに、NAが貯留し、その合成と代謝が低下し、ニュ-ロン活動が低下している所見が得られている。しかし、このニュ-ロン系は、ストレスによって単に物質代謝の変化が生ずるだけでなく、形態的機能的に可塑性がみられる可能性がもたれたので、以下の研究を行った。 超微形態学的観察では、2日の短期ストレス負荷により青斑核細胞核の凹凸化がみられ、細胞内代謝の亢進が示唆されたのに対し、ストレス後2週間経過したモデルラットの青斑核細胞では、粗面小胞体膜構造の脆弱化、細胞の縮小化、リポフスチンに富むグリアやライソゾ-ムの増加、微小管やミトコンドリアの変形が認められ、部分的な変性が示唆された。また、電気生理学的にも、モデルラットでは、逆行性電気刺激に反応する青斑核細胞の数が減少し、ニュ-ロンの変性が示唆された。以上の結果は、機能的疾患としての鬱病にも、その背後に修復困難な生物学的要因が存在しうることを考えさせるものである。 しかし、チロシン水酸化酸素を用いて免疫組織化学的に検討した結果では、青斑核の細胞数は有意な変化を示さなかった。蛍光色素の注入によるNAニュ-ロンの可塑性を検討するin situ viewingに関しては、備品のSITカメラ一式が初年度に調わなかったために、進行が予定より遅れた。現在、開発の可能性求めて、基礎的な研究を行っている。 今後は、免疫組織化学法やin situ viewing法によりNAニュ-ロン終末部の変化を検討するとともに、抗鬱薬の慢性投与によって超微形態学的、電気生理学的変性所見が回復するか否かを検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大谷正人: "ラット脳カテコ-ルアミンニュ-ロンのストレスによる形態的可塑性について" 精神薬療基金研究年報. 21. (1990)
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[Publications] Masato OTANI: "Fine Structual Changes of the Rat Arcuate Nucleus by Forced Running Stress" The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. 44. (1990)