1991 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘発性欝病モデルラットの脳ノルアドレナリンニュ-ロンの形態的機能的可塑性
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01570603
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野村 純一 三重大学, 医学部, 教授 (10024720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 功 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (70024784)
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Keywords | ストレス / 欝病モデル動物 / 青斑核ニュ-ロン / 可塑性 / 蛍光組織化学 / 免疫組織化学 / HRP法 / cabocyanine dye |
Research Abstract |
長期の強制歩行ストレスを負荷したラットは、ストレス終了後も長期間、寡動状態、発情周期の消失、副腎皮質ホルモンの異常を示し、抗欝薬の慢性投与によって、自発活動が回復するところから、我々はこの動物を″欝病モデルラット″と考えて、その脳内モノアミンニュ-ロン(特に青斑核ノルアドレナリンニュ-ロン)の形態学的、生化学的、生理学的機能変化を研究してきた。昨年度までのNAニュ-ロンの可塑性に関する研究では、欝病モデルラットの青斑核NA細胞の超微形態学的観察によって、粗面小胞体膜構造の脆弱化などニュ-ロンの部分的変性が認められ、また、大脳皮質より逆行性に電気刺激を加えて反応する青斑核細胞の数を検討する電気生理学的研究によって、反応数の減少が認められ、やはりニュ-ロン終末の変性が示唆された。 今年度は、まず、欝病モデルラットのNAニュ-ロン終末をグリオキシル酸法による蛍光組織化学法で検討したが、室傍核、視索上核、海馬のNA蛍光は膨化増強していた。しかし、大脳皮質の蛍光には変化がなかった。次いで、dopamine βーhydroxylase(DBH)抗体を用いて大脳皮質のNAニュ-ロン終末を染色し、形態変化を観察するとともに、horseradish peroxydase(HRP)を大脳皮質に注入し、染色される青斑核NA細胞数を検討して、ニュ-ロン終末の状態を推測する方法を試みた。しかし、予定を上回る時間を要したために、結果が出るまでには、さらに数ヵ月を要する。また、抗欝薬の慢性投与によって、NAニュ-ロン終末の変化が回復するかについても現在検討中である。蛍光色素carbocyanine dye:Dilを脳内に注入して、NAニュ-ロン終末の可塑性を動物が生在している状態で検討するin situ viewingは、大脳皮質ニュ-ロン終末より取り込まれた色素が青斑核に達し、最低3ヵ月間留まることを確認したが、逆に、色素を青斑核に取り込ませて、ニュ-ロン終末を可視化するまでには至っていない。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 川口 茂: "うつ病モデルラットの視床下部・下垂体・副腎皮質系の機能免疫組織化学的研究" 精神薬療基金研究年報. 22. 151-155 (1991)
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[Publications] 川口 茂: "うつ病モデルラットの視床下部・下垂体・副腎皮質機能:免疫組織化学的研究" 脳と精神の医学. 2. 505-509 (1991)
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[Publications] Shouju NAKAMURA: "Electrophysiological evidence for axonal degeneration of locus coeruleus neurons follwing longーterm forced running stress." Brain Research Bulletin. 26. 759-763 (1991)
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[Publications] Toyonori NAKAMURA: "Effect of focedーrunning stress on βーadrenergic receptors in rat brain regions and liver." Japanese Journal of Psychiatry Neurology. 46. (1992)
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[Publications] 高橋 三郎(編),大谷 正人(分担): "厚生省感情障害の成因と治療に関する研究 第成2年度研究成果報告書,(分担)欝病モデルラットの弓状核,青斑核における超微細構造の変化と抗欝薬の影響" 創造印刷, 109-114 (1991)
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[Publications] Richard Kvetnansky(編),Isao KITAYAMA(分担): "Stress:Neuroendocrine and Molecular Approaches.(分担)Noradrenergic and neuroendocrine function in a chronic walkingstressーinduced model of depression in rats." Gordon and Breach, 73-80 (1992)