1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570644
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
槙野 博史 岡山大学, 医学部, 助手 (50165685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 岡山大学, 医学部, 助手 (10233701)
池田 修二 岡山大学, 医学部, 助手 (10212771)
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Keywords | 糖尿病 / 腎炎 / プロテオグリカン / IV型コラ-ゲン / 糸球体基底膜 / 細胞外基質 / 走査電子顕微鏡 / 免疫電子顕微鏡 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症は病理学的には糸球体硬化をきたし、臨床的には蛋白尿を生じネフロ-ゼ症候群を呈し腎不全へと進行する。糖尿病性腎症における蛋白尿と糸球体硬化の機序を明らかにする為に、ヒト糖尿病性腎症患者の腎生検材料を用いて金コロイドによる免疫電顕を行いヘパラン硫酸プロテオグリカンとIV型コラ-ゲンの局在の変化を検討した。また腎組織にdetergent処理を行い、細胞外基質を分離し、高分解能走査電顕で腎糸球体基底膜(GBM)の超微構造の変化を観察した。正常コントロ-ルではプロテオグリカンはGBMの内・外透明層に規則正しく分布していた。糖尿病性腎症例ではGBMは肥厚しており、GBMの内・外透明層におけるプロテオグリカンは減少しておりその密度は粗になっていた。IV型コラ-ゲンはコントロ-ルではGBMの全層に分布していた。糖尿病腎症ではIV型コラ-ゲンの密度はコントロ-ルより低下していたがGBMの肥厚が強いために、全体としてはIV型コラ-ゲンは増加していた。走査電子顕微鏡により観察すると、メサンギウム基質はネット状の有密壁として観察される。糖尿病性腎症においては、メサンギウム基質は拡大しGBMの内皮側へ延び、一部GBMの二重化として観察された。高分解能走査電顕では、コントロ-ルではGBMの網目構造は不明瞭であったが、糖尿病においてはGBMが粗になっており、網目構造が立体的に観察された。糸球体ではGBMの内・外透明層に分布するプロテオグリカンが陰性荷電を有しておりCharge barrierとして、また全層に分布するIV型コラ-ゲンが網目を形成してsize barrierとして透過性を制御している。今回の我々の研究により糖尿病性腎症においてはプロテオグリカンの減少によるcharge barrier,IV型コラ-ゲンの密度低下によるsize barrierの障害をきたし蛋白尿を生じることが明らかにされた。プロテオグリカンの減少とIV型コラ-ゲンの増加は糸球体硬化に密接に関連していると考えられた。
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[Publications] Makino,H.,Ikeda,S.,Haramoto,T.,Ota,Z.: "Heparan sulfate proteoglycans are lost in patients with diabetic nephropathy" Nephron.
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[Publications] Makino,H.,Yamasaki,Y.,Hironaka,K.,Ota,Z.: "Glomerular extracellular matrices in rat diabetic glomerulopathy by scanning electron microscopy" Virchows Archiv B (Cell Pathol).
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[Publications] 槙野 博史,太田 善了: "日本透析療法学会誌" 細胞外基質からみた糖尿病性腎症,