1989 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子増幅法を用いたヒト主要組織適合性抗原とインスリン依存性糖尿病との関連の解明
Project/Area Number |
01570654
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
粟田 卓也 自治医科大学, 医学部, 助手 (40184303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 文子 自治医科大学, 看護短期大学, 教授 (70048990)
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Keywords | インスリン依存性糖尿病(IDDM) / ヒト主要組織適合性抗原(HLA) / 遺伝子増幅法(PCR法) / 日本人 / オリゴヌクレオチド / DQ抗原 / DR抗原 |
Research Abstract |
近年、Toddらはインスリン依存性糖尿病(IDDM)の発症感受性を規定するのはHLA-DQ抗原であり、特にDQB鎖57位がアスパラギン酸(Asp)であると発症抵抗性が生じると報告した。今回、我々は自治医科大学内分泌代謝科通院中のIDDM患者72例と非糖尿病対照者85例についてHLA-DR抗原とDQβ alleleの同定を行い比較した。DQβ alleleの同定においては遺伝子増幅法(polymerase chain reaction, PCR法)とオリゴヌクレオチドをプロ-ブとしたdot-blot hybridization法を用いた。その結果、IDDMとの関連については、DR抗原でDR9との正の相関、DR2,DRw11(5)との負の相関を認め、DQβ alleleでDQβ3.3(DQw9),DQβBlank(DQw4)との正の相関、DQβ1.2,DQβ1.9,DQβ3.1との負の相関を認めた。ハプロタイプとしては、日本人でIDDMと正に相関するのは主としてDR4-DQw4,DR9-DQw9であることが分かったが、両者ともDQβ鎖57位はAspであり、全体としても両群ともAspの頻度が高く、Toddらの仮説は日本人では成立しないことが明らかとなった。日本人においてはDQβ鎖のみならずDRβ鎖あるいはDQα鎖もIDDMの発症に関与することが考えられ、今後の検討が必要である。DRβ鎖、DQα鎖のIDDM発症への関与の可能性はそれぞれ白人、黒人における検討によっても報告されている。本研究の成果は、第32回日本糖尿病学会(金沢、1989)、第49回米国糖尿病学会(Detroit,1989)、第1回分子糖尿病学シンポジウム(和歌山、1989)において口演で発表した。また、1990年度の日本糖尿病学会、日本内分泌学会の各シンポジウムにおいて発表予定である。論文としてはDiabetes(Vol39,No.2,266-269)に発表され、第1回分子糖尿病学シンポジウムのプロシ-ディングとして印刷予定となっている。今後は、DRβ鎖、DQα鎖を含めたより詳細な解析を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Awata,T.et al.: "High frequency of aspartic acid at position 57 of HLA-DQ β-chain in Japanese IDDM patients and nondiabetic subjects." Diabetes. 39. 266-269 (1990)
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[Publications] 粟田卓也: "HLA遺伝子とインスリン依存性糖尿病" Medical Immunology. 19. 173-177 (1990)
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[Publications] 粟田卓也ら: "日本人IDDMにおけるHLA-DQβ抗原遺伝子の解析" 第1回分子糖尿病学シンポジウムプロシ-ディング.