1989 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞の分化へのcommitmentの生化学的差異の検討
Project/Area Number |
01570684
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 博義 京都大学, 医学部, 講師 (30093248)
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Keywords | K-562細胞 / 分化誘導因子 / PKC / PKA / signal transduction |
Research Abstract |
K562細胞を赤芽球系細胞へ分化させる分化因子には2種類、すなわち分化へのcommitment(com)と分化形質発現(P)の両stepを生ずるAra-CとPのみを誘導するhemin、が存在する。上記の2種類の因子による分化過程の相違について検討した。2種類の分化因子によるK562細胞分化はPKA活性増加を生ずるdbcAMPやPKC活性を阻害するstaurosporineやH-7により阻害された。PKA活性阻害剤のH-8は分化に影響を与えなかった。一方PK(活性を増加するOAGはheminによる分化を増強したが、Ara-Cによる分化を阻害した。K562細胞をhemin又はAra-Cと2日間培養すると胎生期ヘモグロビンβ鎖であるε-mRNAの発現が増加する。培養時にcycloheximide(CHX)1μg/mlを加えることによりεmRNA増加は完全に阻害された。従ってεmRNA発現には蛋白合成が必須である。Ara-CとCHX存在下に2日間培養を行い、何も添加せず5日間培養を続けるとεmRNA発現の増加とベンチジン陽性細胞の増加を認めた。従ってK562細胞のAra-Cによる分化はCHX添加によりComとPに分けられComはCHXにnesistantである。この系を用いて各s+epでのsecond mesengerの役割を検討したところ、PKCはcomに阻害的役割を有しPでは促進的に働くことが示唆された。上記の結果から(1)PKCはAra-CによるK562細胞分化のCom、Pのstepでdualに働いている。(2)PKAは両stepで阻害的に働くが、PKA活性阻害は分化に影響を及ぼさない。(3)Ara-CのPのstepはheminによる分化形質発現と同様なSignal transductionを有している、らが示唆された。現在HL60細胞の分化についてK562細胞と対比しつつ検討している。
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[Publications] Yoshikazu Yumoto: "Effect of second messenger modulators in K-562 cell differentiation:Dual action of calcium/phospholipid dependent protein kinase in the prcess of differentiation" J.Cellular Physiol.
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[Publications] Hiroyoshi Sawada: "The effect of the combination treatment with low dose Ara-C and 1α-hydroxyuitamin D_3 in myelodysplastic syndrome and hypoplastic leukemia" Cancer Journal.
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[Publications] 澤田博義: "Ara-Cと他の抗癌剤" 編集 穂積本男,斉藤政樹,永田和宏,中外医学社,白血病細胞の分化誘導療法.