1989 Fiscal Year Annual Research Report
横隔膜ヘルニアにおける肺低形成、及び循環不全の出生前評価に関する研究
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01570712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌田 振吉 大阪大学, 医学部, 助手 (40161202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 賢治 大阪大学, 医学部, 助手 (30176507)
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Keywords | 胎児 / 横隔膜ヘルニア / 肺低形成 / 循環不全 / 出生前評価 |
Research Abstract |
妊娠90〜120日齢の山羊6頭を用いて横隔膜ヘルニアモデルの作成を行なった。下腹部正中切開にて開腹し、子宮内に胎仔を同定した。胎仔の左季肋下部に子宮壁を通して巾着縫合を加え、その間の子宮壁、胎仔腹壁を切開して開腹した。左横隔膜の膜様部を穿破し、胃・小腸を胸腔内に陥入させ横隔膜ヘルニアモデルとした。胎仔腹壁・子宮壁・腹壁を閉鎖し手術を終了した。術後は回復室にて子宮収縮抑制剤・抗生剤を3日間投与し、以後は一般飼育室にて管理した。全例が胎内死亡したが、このうち4頭はい週間以内の死亡であり、1頭は2週間、残る1頭は3週間生存した。剖検にて全例胸腔内に腹腔臓器の陥入が認められた。2週間及び3週間生存例の患側肺は対側肺に比し著しい重量の低下を認め、胎仔超音波検査にて計測した肺胸郭断面積比の低下に一致していた。1週間以内に死亡した4頭のうち胎仔超音波検査を施行できた2頭では下行大動脈の血流の低下及びPulsatile lndexの悪化を認めたが、ヘルニア作成による影響によるものか、あるいは一般的手術侵襲及び子宮収縮による影響であるのか判定困難であった。2週間及び3週間生存例では胎仔超音波検査による循環指標の異常所見は認めておらず、今後検査時期を検討する必要がある。本年度の実験モデルは侵襲の軽いモデルにて同様の検討を行ない、循環が過大で全例が胎内死亡したため出生時の生理学的評価が行ない得なかった。次年度には更に侵襲の軽いモデルにて同様の検討を行ない、循環指標の変動及び出生後の呼吸・循環機能にて検討する必要がある。
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