1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト単球heterogeneityとその移植免疫における意義についての研究
Project/Area Number |
01570714
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福田 康彦 広島大学, 医学部, 講師 (40093801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 浩 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10191181)
|
Keywords | 免疫学的モニタリング / HLAーDQ陽性単球 / HLAーDQ抗原 |
Research Abstract |
過去2年間の研究結果から、末梢血中の単球膜表面におけるHLAーDQ抗原の表出が、アロ抗原刺激によって促進されることが判明した。従って、臨床的腎臓移植において距絶反応のモニタリングとして末梢血中のDQ陽性単球率が有用であることが想定された。 今回35例の腎臓移植症例において、移植前、移植後7日、14日、28日の時点でDQ陽性単球の出現率を質出した。尚、距絶反応発現時においては治療前後詳細に検索した。 移植後3ケ月以内に発症した16回の急性距絶反応では、全例においてDQ陽性単球の比率が約20%から約55%まで急上昇することが判明した。そして、ステロイドパルス療法により寛解するとDQ陽性単球も急速に前値に復した。即ち治療によく反応する通常の急性距絶反応においては、DQ陽性単球は極めて良い免疫学的指標となるものと考えられた。又、その予知に関しては、移植後14日目のDQ陽性単球の値が参考になることが分った。即ち、14日目のDQ陽性単球が30%以上であった13例中10例(77%)がその後3ケ月以内に距絶反応とみた。これに対して、30%以下であった28例では3例(17%)に距絶をみたのみであった。 ステロイド治療低抗性であった10回の距絶反応においては、DQ陽性単球の変動は小さく、むしろDR陽性T細胞の持続的上昇が特徴的であった。 CYA腎毒性(5例)、ウイルス感染(2例)においてはDQ陽性単球の上昇はまったくみられなかった。 従って、DQ陽性単球の上昇は細胞性免疫に起因する急性距絶反応に極めて特異的なパラメ-タ-であることが明確となった。
|
-
[Publications] 石川 哲大: "MLRにおけるTリンパ球及び単球膜表面のHLA Class II抗原陽性率の経日的変動" 日本外科学会雑誌. 92. 1663 (1991)
-
[Publications] Yasuhiko Fukuda: "Remarkable correlation between increased HLAーDQ antigen positive monocytes and prognosis of renal tronsplantation" Transplantation Today. (1992)