1990 Fiscal Year Annual Research Report
熱傷感染モデルにおける蛋白・エネルギ-代謝に関する研究
Project/Area Number |
01570722
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Research Institution | Teikyo University, School of Medicine Trauma and Critical Care Center |
Principal Investigator |
小林 国男 帝京大学, 医学部, 教授 (80082147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏昌 帝京大学, 医学部, 助手 (00187759)
長谷部 正晴 帝京大学, 医学部, 講師 (00082264)
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Keywords | 熱傷ラット / 感染症 / 蛋白エネルギ-代謝 / 間接熱量測定法 / 代謝量 / LCT(長鎖脂肪) / MCT(中鎖脂肪) / ケトン体 |
Research Abstract |
エネルギ-基質の利用能の相違を、熱傷単独の熱傷モデル(Bモデル)と熱傷に感染を付加した熱傷+感染モデル(BIモデル)について検討した。体重320ー340gのSD系雄性ラットの背部にIII度20%の熱傷を作成し、熱傷作成後直ちに輸液を開始した。始めの10時間は生理食塩水を投与し、BIモデルにはこの時点で黄色ブドウ球菌(10^9CFU)を背部熱傷創皮下に接種した。続く12時間各モデルはそれぞれ3群に分けエネルギ-基質のみ異なるTPNを投与した。いづれのTPNも等熱量(156Kcal/kg/day)等窒素量(1g・N/kg/day)とし、非蛋白熱量(NPC)の全てをブドウ糖で投与したG群、NPCの50%をLCT(長鎖脂肪)乳剤に置き換えたL群、NPCの50%MCT(中鎖脂肪)乳剤で投与したM群に分けた。12時間TPNを投与した後、気管切開を施し小動物用レスビレ-タ-に装着して呼気中O_2濃度およびCO_2濃度を呼気ガス分析装置で測定することによって間接熱量測定法で8時間に渡り同じTPNを継続しながら代謝量(EE)を測定した。測定終了時に血液・尿・肝臓・骨格筋を採取しそれぞれの代謝指標を測定した。3群ともBモデルに比してBIモデルでEEは高く感染の付加で代謝量は増加したが、Bモデルでは3時間に差がないのに対し感染の加わったBIモデルではM群(136±6Kcal/Kg/day)がL群(114±2)より有意に高く(p〈0.01)、MCTがLCTより有効に利用されていることが示唆された。筋蛋白量は、BIモデルでは3時間に差が認められなかったが、窒素平衡はM群がどちらのモデルでもG群よりも改善した。血中ケトン体総量(μmol/L)は、BモデルではM群が高値(866±82)を示したが、BIモデルではL群(612±96)より低く(334±49)、感染の付加によって末梢のケトン体利用が増加することが示唆された。以上の結果から感染を合併した熱傷ではMCTは有効に酸化され蛋白制限効果のあるエネルギ-基質であることかが示唆された。
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Research Products
(1 results)