1989 Fiscal Year Annual Research Report
消化管再建腸管における壁内自律神経の変性と機能的再生に関する研究
Project/Area Number |
01570732
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森田 隆幸 弘前大学, 医学部, 助手 (30167689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 和博 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
林 健一 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 消化管壁内神経 / 自律神経の変性 / 自律神経の再生 |
Research Abstract |
徹底したリンパ節郭清ガル-チンに行なわれるようになった消化管悪性疾患の手術では再建腸管の血流は保たれているが、外来神経は切断されdenervationされていることが多い。本来、多数の壁内自律神経細胞をもつ腸管神経系の場合には独立性(自動能)が強いため、中枢神経や交感・副交感神経など外来神経への依存度は比較的少ないと考えられてきた。しかし消化管手術、特に直腸癌低位前方切除術の再建腸管の運動を観察するとspasticな運動が出現し、術後排便機能に大きな影響を及ぼしていることが示唆され、かかる病態には下腸間腹動脈に伴行する交感神経結腸板切断によるコリン作動性ニュ-ロ抑制系の障害や骨盤神経切断に由来する壁内神経節細胞の二次的な障害が関与していることが予想された。そこで、平成元年度は雑種成犬を用いて、ヒト下腸間膜動脈に相当する尾側腸間腹動脈に伴行している交感神経結腸枝(節後線維)を切断し、その支配腸管の壁内神経叢、ことにAuerbach神経叢を中心に神経節細胞やその周囲の軸索終末について電顕的に微細構造の変化を観察した。その結果、交感神経切断3日目頃よりAuerbach神経叢内の神経節細胞周囲の軸索に空胞化や電子密度の高い顆粒物質の蓄積像などが出現し、その後3ヵ月、6ヵ月と経時的にみると再生軸索の出現が認められた。しかし、これらの形態的変化は研究当初に予想したほど高度なものでなく、腸管のspasmなど異常運動の出現などを裏付ける程のものではなかった。従って、今後は肛門側から口側へと走行する骨盤神経板(副交感神経)や陰部神経末梢板(体性神経)などと切断して検討を進めるとともに、腸管切除操作それ自体に起因する壁内神経の変化などに着目して研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(2 results)