1989 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍に対する光化学反応による診断と治療に関する研究
Project/Area Number |
01570736
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高瀬 靖広 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50075339)
|
Keywords | Eosin yellow / Photoradiation therapy / 食道癌 / Photoradiation diagnosis / 胃癌 / YAGレ-ザ- |
Research Abstract |
われわれはこれまで、光感受性物質としてeosin yellow(eosin Y)を用いたpho-toradiation diagnosisが臨床的に食道癌および胃癌について可能であることを報告してきた。今回、eosin Yを光感受性物質とし、QスイッチNd-YAGレ-ザ-光線を励起光線とした二光子吸収によるphotoradiation therapy(PRT)について実験的に検討した。実験方法はマウス側腹部皮下に移植腫瘍Meth-A5×10^6個を注入し、7日後、各マウス腹腔内にEosin Y100mg/kg注入6時間後、腫瘍に対するPRTを施行した。QスイッチNd-YAGレ-ザ-光線(波長(1064nm)を励起光線とし、レ-ザ-光線は励起強度10mJ/pulse、総出力3W、2分間で、非接触的に腫瘍に対し照射した。なお、実験動物をPRT治療群、レ-ザ-光線照射単独群、eosin Y投与単独群および無処置群に分けた。各群について、処置前と処置後の各腫瘍体積(長径×短径^2)を計算した。そして、各群間で処置後の腫瘍体積の変化を算出・対比して、PRTの治療効果を検討した。結果:この実験中に死亡したマウスはいなかった。処置後1、2、4、8、14日目の腫瘍体積の平均値はPRT治療群では113、151、205、531および674、照射単独群では175、282、468、811および1919、eosin Y単独投与群では210、306、486、879および1746で、無処置群では227、287、482、840および2042であった。PRT治療群では他の3群に比して、処置後の腫瘍体積が有意に小さいことが認められた(P<0.05)。しかし、他の3群間に処置後の腫瘍体積の大きさに差はみられなかった。結論:Eosin YとNd-YAGレ-ザ-光線によるPRTはマウスに移植した移植腫瘍Meth-Aに対しては有効であった。
|
-
[Publications] Susumu Shibuya: "Photoradiation diagnosis by means of eosin yellow and argon laser beam.Macroscopical diagnosis of local invasion of esophageal cancer using charge coupled device camera." Deseases of the Esophagus. II. 33-38 (1989)
-
[Publications] 渋谷進: "Eosin yellowを光感受性物質とした胃癌リンパ節転移の光化学診断" 日本消化器外科学会雑誌. 22. 1160 (1989)