1989 Fiscal Year Annual Research Report
リポソ-ムに封入した免疫賦活剤による腹膜播種転移抑制の研究
Project/Area Number |
01570739
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 守正 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60012712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純司 東京大学, 医学部, 医員
西村 洋治 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (10218208)
小西 敏郎 東京大学, 医学部, 講師 (20126056)
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Keywords | 腹膜播種転移 / マクロファ-ジ / リポソ-ム / ムラミ-ル・ダイペプタイド |
Research Abstract |
胃癌切除後の腹膜播種再発を予防するための基礎的研究として、腹腔内マクロファ-ジの活性化による腹膜播種抑制の諸条件を、C3H/Heマウスの同系乳癌腹水型腫瘍細胞MM2を用いたモデルで検討した。MM2細胞5×10^4個を腹腔内接種すると、約4週間で90%のマウスが腫瘍死するという実験系を用い、マクロファ-ジの活性化誘導には、ムラミ-ル・ダイペプタイドの脂溶性化合物B30MDPを多重層リポソ-ムに封入して癌播種モデル・マウスの腹腔内に投与し、マウスの生存期間の延長または治癒によって治療効果を判定した。至適投与量の検討:B30MDP1回のみの投与量を0.1μg、1μg、10μg、100μgの4段階として比較したところ、0.1μg群のマウスの生存率が最も良好であった。それよりも多い投与量では、かえって生存率が低下した。投与スケジュ-ルの検討:1回投与量を0.1μgとし、1回のみ投与、1回/週または2回/週で4週間投与の比較をしたところ、2回/週投与群が非投与群に比べ有意に生存率が良好であった。腹腔マクロファ-ジのMM2細胞に対する細胞障害性の検討:B30MDP-リポソ-ムを腹腔内に投与後48時間の腹腔マクロファ-ジを集め、E/T比20:1でMM2細胞と48時間培養した後、トリパン・ブル-色素排除試験及び^3H-サイミジンの取り込みにによって細胞障害性を判定した。いずれの測定法でも、B30MDP-リポソ-ム投与群のマクロファ-ジは対照群のそれに比べ有意に高い細胞障害性を示した。以上、生体内及び試験管内の実験から、腹腔内に投与したB30MDP-リポソ-ムは腹腔内マクロファ-ジを活性化して、MM2腫瘍細胞破壊に働くことが明らかとなり、臨床例における術後腹膜播種再発防止に応用しうる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)