1989 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉療法への抗CEA単クロ-ン抗体結合リポソ-ムの応用
Project/Area Number |
01570741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 祐三 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40143515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久雄 立教大学, 原子力研究所, 助教授 (10062605)
富田 敏夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00126129)
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
関口 守正 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60012712)
高橋 司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90143510)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / 硼素化合物 / リポソ-ム / 抗CEAモノクロナ-ル抗体 / 熱中性子照射 |
Research Abstract |
中性子捕捉療法(BNCT)では、そのままでは細胞障害性を持たない^<10>B原子に熱中性子を照射すると、崩壊した^<10>B原子により誘発される重荷電粒子により細胞破壊が惹き起こされるところに特徴があり、重荷電粒子の飛程は10ミクロン以下なので、細胞単位の選択的な癌治療が行える。すでに脳腫瘍や黒色種の治療の臨床試験が開発されているが、本研究では、消化器癌、特に治療の困難な肝癌、膵癌や転移性腫瘍に対してもBNCTを応用することを目的として、基礎的諸条件を検討した。 抗CEA単クロ-ン抗体(MoAb)の作製:CEA産生ヒト膵癌細胞株AsPC-1細胞でマウスを免疫し、標準方法に則って特異的抗CEA-MoAb 2C-8を作製した。^<10>B封入リポソ-ム(Lip)の作製:卵レシチン、コレステロ-ル、DTP-DPPEをモル比1:1:0.05で有機溶媒中に溶解し、エバポレ-タ-を用いて脂質薄膜とし、これに種々の濃度の^<10>B化合物(Cs_2^<10>B_<12>H_<11>SH)水溶液を加え、攪拌振盪して多重層Lipを作製した。100mMと250mMの^<10>B化合物を用いた場合、Lip内の^<10>B濃度は188ppmと644ppmであった。免疫Lip(^<10>B-Lip-MoAb)の作製:種々の濃度の2C-8MoAbを^<10>B封入Lipに結合させ^<10>B-Lip-MoAbを作製した。4mgのMoAbを用いた場合、1ml中のLipに結合した抗体量は750μgであり、この値より抗体1分子当たりの^<10>B原子数を計算すると、最高1.2×10^4個であった。熱中性子照射の硼素化標的細胞に対する細胞障害効果:マイクロプレ-トを用いてAsPC-1細胞と^<10>B-Lip-MoAbを8時間混合培養した後、立教大原子炉にて熱中性子照射(5×10^<11>、1×10^<12>、2×10^<12>、5×10^<12>n/cm^2)を行った。照射後、^3H-サイミジンの取り込みによって、AsPC-1細胞が受けた細胞障害効果を判定せた。^<10>B化合物のみの場合は細胞障害はみられなかったが、^<10>B-Lip-MoAb処理群では有意な細胞障害効果がみられ、免疫Lipに封入された^<10>Bの濃度と、結合した抗体量に依存していた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柳衛宏宣、他: "抗CEA単クロ-ン抗体(2C-8)の作製および抗CEA-Immunoliposomeを用いた中性子捕捉療法への応用" Human Cell. 2. 290-296 (1989)
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[Publications] 柳衛宏宣、他: "抗フェトプロテイン・モノクロ-ナル抗体の中性子捕捉療法への応用" 第9回腫瘍マ-カ-研究会論文集. (1989)
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[Publications] 柳衛宏宣、他: "抗CEA-Immunoliposomeの中性子捕捉療法への応用" Biotherapy. 3. 1286-1290 (1989)