1989 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌の組織型とMTX/5FU時間差療法の有効性の研究
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01570742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 敏郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (20126056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純司 東京大学, 医学部(病), 医員
平田 泰 東京大学, 医学部(病), 助手
平石 守 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 胃癌 / MTX@5-FU時間差療法 / 未分化型胃癌 / Thymidylate synthetase / Thymidine kinase |
Research Abstract |
これまでにMTX/5-FU時間差投与によるbiochemical modulationを、切除不能や術後再発などの手術不能進行胃癌44例に行い、本療法は未分化型胃癌に対して特異的に効果を発揮する結果を得ている。これまでの治療効果評価可能例30例では、CR例は得られていないがPR10例、MR4例で奏功率は33%である。これらのPR/MR例はすべて未分化型癌で、未分化型癌に限ると奏功率は43%と非常に高く、MR例も含めると61%と未分化型癌では半数以上の症例に画像診断上効果が認められた。また最近2症例で本治療後に切除可能となった。切除標本では2症例とも原発巣の縮小・平坦化は著明で、治療前の生検で未分化型であったが、切除標本の組織学的検索ではともに高分化型腺癌が多くを占めていたことは興味深い。 本療法が未分化型胃癌に対して特異的に効果を発揮する理由として、われわれはDNAのピリミジン合成経路で重要なde novo経路のThymidylate synthetase(TS)およびsalvage経路での代謝酵素であるThymidine kinase(TK)両酵素の胃癌組織内の活性が、組織型により差異があることが関与していると考えている。両酵素の胃癌組織中の活性を各々Dunlap法およびTaylor法により測定した結果では、未分化型胃癌(n=11)組織内のTS活性は高く、TK活性は低く、分化型胃癌(n=12)では逆の結果であった。そしてTS/TK比は未分化型10.89、分化型3.92で、未分化型胃癌で有意に高値を示した(p<0.01)。未分化型胃癌でMTX/5-FU時間差投与療法が効果を発揮する理由として、作用機序のひとつであるTS活性が高く、本療法では影響されないTK活性が低いことが起因すると考えられる。また分化型胃癌では、deoxy-thymidineからdTMPへの代謝経路が障害されず、DNA合成阻害を伴わない効果を示さないと考えられる。 またヒト胃癌培養細胞における組織型によるTSおよびTK活性の測定とMTX/5-FU時間差投与の効果の差異の基礎的検討を開始している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小池英夫、小西敏郎他: "OK-432(男1才)MTX/5-FU時間差投与法で軽快ST=DIC併発再発胃癌の1例" 日本外科学会雑誌. 90. 1117-1121 (1989)
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[Publications] 小西敏郎他: "進今胃癌に対するMTX/5-FU時間差投与療法" Oncologia. 22. 72-80 (1989)
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[Publications] 島津久明、小西敏郎他: "今日の胃癌の診療ー最近の話題より" 臨床医. 15. 1917-1929 (1989)
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[Publications] 吉田純司他: "胃癌の癌性胸腹膜光に対するMTX/5-FU時間差投与療法の効果" Oncologia.