1989 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の小転移巣治療へのインドメサシンの応用(実験的・臨床的研究)
Project/Area Number |
01570743
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大盛 芳路 東京大学, 医学部(病), 助手 (60185395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 信博 東京大学, 医学部(病), 講師 (40010160)
黒田 慧 東京大学, 医学部(病), 講師 (70010270)
正木 忠彦 東京大学, 医学部(病), 医員
|
Keywords | 癌 / 転移 / 放射線療法 / インドメサシン / ProstaglandinE_2 / 局所顆粒球数 |
Research Abstract |
臨床例において、直腸癌症例を対象とした。直腸癌症例に対して放射線療法を手術前に施行した症例と、手術前に放射線療法を受けていない症例では、被癌部のProstaglandin E_2濃度が異なり、これが、放射線療法の効果(転移ならびに局所再発の)を説明するものと考えたが、局所のProstaglandin E_2濃度は、放射線治療群と非治療群で有意の差はなかった。ratを用いた基礎実験で、放射線治療(全身照射)後血中のProstaglandin E_2が著明に上昇することがわかっており、放射線治療による局所免疫能の変化が存在することが示唆されたが、上記の結果から、放射線療法による血中Prostaglandin E_2値の上昇は放射線療法による直接効果ではなくストレスによるものも考えられ、更に基礎実験を積み重ねている段階である。 また本研究の目的は局所免疫能の賦活を目的としたものであり、現在癌に対する局所免疫はリンパ球の働きと共に、マクロファ-ジ、顆粒球等により仕どられるものとされている。本研究で顆粒球数(局所の)も測定した(組織学的検査)が、これも放射線療法の有無による差はみられなかった。なお臨床例での術前照射量は50Gyとした。 以上の結果は、放射線療法により、局所のProstaglandin E_2値、顆粒球数の変化は認められないことを示しており、放射線療法単独では、直腸癌の遠隔成績が向上しない事実と考え併せると極めて興味深い結論である。 なお、放射線療法とインドメサシンの併用、インドメサシン単独投与による癌転移巣治療の効果については、現在ratを用いた研究が進行中であり、未だ結果を発表できるものとはなっていないが、今後症例数を追加していく方針である。
|
Research Products
(1 results)