1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570760
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
宮崎 耕治 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30159173)
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Keywords | 胆道癌 / 化学発癌 / 細胞培養 / DNA損傷 / 細胞回転 / ニックトランスレ-ション法 |
Research Abstract |
胆道癌の発生には結石や胆汁うっ滞、膵液の逆流による活性化膵酵素などに起因する慢性炎症が何等かの関与をしていることが推測されているものの、詳細は不明である。発癌過程の第一歩として、発癌物質の活性化及びこれによる標的細胞DNAの損傷があるが、出願者は慢性炎症による上皮細胞の変性及び再生はこのDNA損傷感受性を増大させると推測している。細胞回転とDNA損傷感受性との関係を明らかにするために、前者に影響すると推測している、ホルモン、コレステロ-ル、胆汁酸などの、DNA損傷性に及ぼす影響を検討することを目的とした。 ウサギ胆嚢を用いて、コラ-ゲンマトリックス内にその粘膜上皮細胞を、嚢胞として立体培養し、マイクロインジェクション装置により嚢胞(モデル胆嚢)内にEGF、エストラディオ-ル、コレステロ-ルを各々注入し、BrDUモノクロ-ナル抗体を用いて、細胞回転に与える影響をみた。その結果、EGF、エストラディオ-ルは胆嚢粘膜上皮細胞の細胞回転を濃度依存性に増加させることが判明した。一方、立体培養した胆嚢粘膜上皮細胞のDNA傷害性を検出するためには、これまで用いてきたアルカリ溶出法によるDNA損傷の検出が不可能なため、ニックトランスレ-ション法によるDNA一本鎖切断検出を行うこととし、材料の準備が容易なラット肝実質細胞培養を用いてこの導入を検討した。この過程で肝実質細胞/ニックトランスレ-ション法は、これまでのどのDNA傷害検出法より鋭敏で簡便であることがわかり、各種発癌物質を用いて検討し報告している。現在、ニックトランスレ-ション法は立体培養胆嚢粘膜上皮細胞に応用可能であることを確認し、本法を用いてdimethylnitrosamineのDNA鎖傷害に対するエストラディオ-ルの影響を検討中であるが、まだ結論を発表できる段階にない。
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[Publications] K,Miyazaki: "Familial occurrence of anomalous pancreaticobiliary duct union associated with gallbladder neoplasms." Am.J.Gastroenterol. 84. 176-181 (1989)
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[Publications] 呂 明徳: "胆道癌関連発癌物質の検出モデルとしての胆管上皮細胞の分離と培養" 日本外科学会雑誌. 90. 404-408 (1989)
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[Publications] 宮崎 耕治: "胆道癌化学発癌物質検出のための培養胆道上皮細胞/アリカリ溶出法" 日本消化器病学会雑誌. 86. 2540-2544 (1989)
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[Publications] K.Miyazaki: "Unscheduled DNA synthesis after treatment with 20ーmethylーcholanthrene and Nーnitrodimethylamine in primary culture of human gallbladder epithelial cells" Mutation Res.235. 81-84 (1990)
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[Publications] 宮崎 耕治: "肝・胆道癌の研究における細胞培養" 組織培養. 17. 26-29 (1991)
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[Publications] K.Nagafuchi: "Madulation of the genotoxicity of azathioprine by intracellular glutathion in hepatocytes" J.Cancer Res.Oncol.
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[Publications] 宮崎 耕治: "胆道上皮細胞の初代培養とその応用「細胞レベルからみた消化器の機能」" 谷内 昭、永森静志編、日本医学館, 113 (1990)