1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570764
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
萩原 明郎 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90198648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 千尋 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40210794)
高橋 俊雄 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (50079828)
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Keywords | 接着吻合術 / 膵管-膵管吻合 |
Research Abstract |
膵管と膵管を吻合する手術に用いる乳酸ポリマ-チュ-ブを作製した。犬を用いて実験した結果、分子量6000程度のオリゴマ-乳酸を重合させて作製したものが良い事が判った。この素材では、犬膵液中で半年以上にわたって劣化せず、かつ一年後には分解消失していた。また接着剤として当初使用していたEECAKでは、異物反応が強く、約一年後には吻合した膵管が吻合部で閉塞してしまう事が判った。そこで、新しい接着剤として、膵アミラ-ゼ不活化剤添加フィブリン接着剤を開発した。本接着剤は従来のフィブリン接着剤とは異り、極めて膵アミラ-ゼの不活化能の強いミラクリッドをマイクロスフェア化により安定化した「マイクロスフェア化ミラクリッド」を含有している為に、侵出する膵アミラ-ゼに分解されることなく接着作用を保持する事が、犬の実験で判明した。また、生体内では最終的に分解吸収されてしまうが、それには約6週間を要し、ゆっくりと生体のコラ-ゲン等と置きかわって行く事が、ラットを用いた実験で明らかとなった。一番問題となる異物反応の面では、ラット、マウス、及び犬を用いて検討を行った結果、EECAKと異なりほとんど異物反応を示さず、3ヵ月間の検討では、周囲の炎症反応は極めて軽度であった。 以上の様に、接着吻合に用いる素材はほぼ実用化し得ると考えられるポリマ-チュ-ブ及び接着剤が完成した。現在、犬を用いて実際に膵管-膵管吻合術を施工し、その後の吻合部の状態を経過観察中である。中間における検討として、吻合術施行の後、3ヵ月目に犬を屠殺部検して組織学的に吻合部の状態を検討した。その結果では、6匹中3匹では吻合部の膵管の内腔は開存しており、かつ膵管上皮の連続性は保たれていた。また膵管吻合部の周囲の炎症反応はEECAKの使用時に比較して、極めて軽度であり、今後の膵管閉塞の可能性は小と考えられた。
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