1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570764
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
萩原 明郎 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90198648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 俊雄 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (50079828)
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Keywords | 膵管膵管吻合術 / 接着剤 / 非縫合的吻合術 / 膵機能 / 手術手技 / 動物実験 / 生体内分解性材料 / 内腔チュ-ブ |
Research Abstract |
雑犬およびビ-グル犬の成犬を用いて、膵管と膵管とを、内腔チュ-ブと接着剤を用いる非縫合的手技によって吻合する手法に関する実験を行った。その結果、手術材料的には、(1)極めて肉薄の内腔チュ-ブを用いる必要があり、犬では内径が約1.0から0.9mmの太さが必要なこと。(2)新たに作製した生体接着剤EECAKに加えて、軟化剤を添加した方が接着効果が高い事等が判った。また手術手技的には、(1)内腔チュ-ブは10から15mmの長さが犬では最適であること、(2)EECAKの使用に加えて、膵実質には5ー0ナイロン糸で2針の減張縫合を加える方が良い事等が判った。 膵管吻合部の開存頻度を、吻合手術施行後18カ月目に、犬を屠殺剖検した結果、非縫合的吻合術を施行された犬6匹の内で3匹に完全な開存を認めた。しかし、従来の縫合手技による吻合を施行された犬6匹の内では、吻合部の膵管が開存している例は全く認めなかった。またこれらの犬の膵臓組織を吻合部を境に膵尾側と膵頭側に分けて病理組織学的に検討したところ、膵管吻合部の開存している犬では、膵尾側の変化は軽度の慢性膵炎の所見が認められるのみで、内・外分泌細胞ともに機能を有していると考えられた。しかし、膵管の吻合部が開塞している犬では、膵尾側の膵実質組織の変性は極めて著しく、膵は全体に線繊化を伴う萎縮が著明であった。 今後、更に実験動物数を増やして検討を加える必要がある事は当然であるが、現時点での結論では、従来から行われている膵管の縫合による吻合手技に比較して、本法すなわち非縫合的膵管膵管吻合術は、膵管の吻合部の開存率ひいては、吻合部より膵尾側の膵機能の保存の上で、よりすぐれた方法であると考えられる。
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