1989 Fiscal Year Annual Research Report
モノクロ-ナル抗体を応用した食道癌の新しい診断と治療の開発
Project/Area Number |
01570771
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
白水 玄山 久留米大学, 医学部, 助手 (10154379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力武 浩 久留米大学, 医学部, 助手 (30191688)
入江 均 久留米大学, 医学部, 助手 (40176516)
南 泰三 久留米大学, 医学部, 助手 (10181950)
坂本 和義 久留米大学, 医学部, 講師
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 講師 (30140669)
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Keywords | 食道癌 / モノクロ-ナル抗体 / 蛋白性抗原 / 免疫組織学的反応 / glycolipid |
Research Abstract |
食道癌の新しい診断治療の開発を目的として、当教室で樹立したヌ-ドマウス移植食道癌株を免疫源としてモノクロ-ナル抗体を作成した。本年度はこの抗体の免疫組織学的反応特異性と本抗体が認識する抗原規定基の解明、さらには本抗体をRI標識することにより体内分布の検索を行った。作成した数種類のマウス型モノクロ-ナル抗体のうちKYSMー1は、免疫組織学的検索によってヒト食道癌と81%(43/53例)の高い反応を示し、この中の40例が癌胞巣全体にビマン性染色を示した。正常食道上皮では、基底細胞層が弱いながらも染色された。一方、胃癌、大腸癌、肺癌による反応を見ると、それぞれ20%、0%、100%であったがいずれも局所的に一部の組織が染色陽性を示したに過ぎなかった。次に、本抗体の抗原決定基を、今までのヒト癌に対するモノクロ-ナル抗体がglycolipidの糖鎖を抗原決定基として認識しているものが多いことから、glycolipidとの反応性について検討した。その結果、43種類のglycolipid抗原と本抗体(KYSMー1)とを反応させ、薄膜クロマトグラフィ-で検索したところ、全くglycolipidの糖鎖抗原とはと反応せず、既存の抗原とは異なった蛋白性抗原を認識している可能性が強く示唆された。そこで現在、癌細胞質及び細胞膜をNPー40、PMSF等の界面活性剤で可溶化し、Western blottingならびにImmunoprecipitation等を行ない、SDSーPAGEにて蛋白性抗原の解析を行っている。RI標識抗体によるマウスの体内分布については、モノクロ-ナル抗体(マウスIgM)の精製が不十分であったため満足できる結果は得られていないが、現在では精製度が80%以上(SDSーPAGEにより確認)のモノクロ-ナル抗体を大量に作製することが出来るようになり、次年度当初より此の精製抗体を用いて再度RI標識を行い、食道癌移植ヌ-ドマウスにおけるRIの体内分布や集積性およびイメ-ジングを行う予定である。
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[Publications] 掛川暉夫: "食道癌の診断と治療ー当教室における最近の研究から" 現代医療. 20. 2157-2161 (1988)
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[Publications] 掛川暉夫: "食道癌の外科的診断と治療の動向" 消化器外科. 10. 7-16 (1989)
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[Publications] 南泰三: "ヒト食道癌細胞に対するモノクロ-ナル抗体の作製と免疫組織学的反能特異性の検討" 日本外科学会雑誌. 90. 1819 (1989)