1991 Fiscal Year Annual Research Report
体表心電加算処理法による開心術の予後予測に関する研究
Project/Area Number |
01570776
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三井 利夫 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60010170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 達夫 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50112868)
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Keywords | Signalーaveraged ECG / filtered QRS / Root Mean Square Total(RMST) / 補助循環 / IABP / 導入と離脱 / 左心重量 / 活動心筋量 |
Research Abstract |
【1】補助循環法の適応と離脱の指標としてSignalーaveraged ECGの有用性を開心術後重症心不全に陥り補助循環を必要とした症例において検討した。術前と拍動再開時のRMSTを比較すると、IABPなどの補助循環法を用いた14例ではRMSTは術前に比し平均49±13%まで低下したが、ノルアドレナリンの使用にとどまった症例(N=27)では平均57±32%であり、ノルアドレナリンが不要であった症例(N=19)では平均90±27%の低下にとどまり、IABPを使用するような重症心不全ほど、拍動再開時にはRMSTは低下することを示した(P<0.001:非ノルアドレナリンと他の2群について)。次に補助循環からの離脱に関しては、IABP離脱例(N=9)ではIABPの使用によりRMSTは47±15%から83±15%まで有意の回復(P<0.005)を示したが、一方、IABP離脱不能例(N=5)は34±15%から24±12%まで低下し、RMSTの回復を示すことはなかった。以上の結果よりRMSTは心臓の不全状態をよく反映し、補助循環効果の発現とともに回復して来ることが示され、補助循環法の適応と離脱の指標として有用であると考えられた。 【2】RMSTが活動している心筋細胞量を反映するかどうか検討するため、術前の左心重量とRMSTの比較を行った。左心重量は心エコ-法により算出した。大動脈弁膜症患者(N=14)の左心重量は205±77g/mであり、僧帽弁狭窄症患者(N=14)の94±33g/mに比べて有意に重かった(P<0.001)。一方、大動脈弁膜症患者のRMSTは137±57μVであり、僧帽弁狭窄症患者の88±37μVに比べ有意に高値を示した(P<0.05)。この結果より、RMSTは活動心筋量(主に左心室)を反映していると考えられ、また補助循環回復症例でRMSTが回復するのは活動心筋量が回復することによると考えることも可能であり、心筋細胞のviabilityの評価が体表心電加算平均法によって出来る可能性も示唆された。
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[Publications] Toshio MITSUI: "Signalーaveraged Electrocardiograms for Prediction of the Prognosis in Open Heart Surgery" “Heart Failure"proceedings of Tsukuba Heart International Symposium '90,University of Tsukuba. 11-16 (1991)
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[Publications] 松下 昌之助: "RMSTと開心術後の心機能" 心臓. 23(増刊4). 9-14 (1991)