1989 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症合併先天性心疾患の根治術前後右室心筋病変の推移と臨床的意義に関する研究
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01570778
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮村 治男 新潟大学, 医学部, 講師 (30166194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正明 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
金沢 宏 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10177496)
福田 純一 新潟大学, 医学部, 助手 (30175567)
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Keywords | 心室中隔欠損症 / 右室心筋の組織変化 / 病理組織学的観察 / 右室心筋生検 / 間質線維化 / 心筋細胞肥大 |
Research Abstract |
心室中隔欠損症(VSD)の右室心筋の組織変化と術後遠隔期の改善度を解明する目的で、今回VSD手術症例の術中採取心筋と遠隔期採取心筋について病理組織学的観察を行ない、組織変化の可逆性について検討した。対象と方法:VSDの開心根治手術を施行した25例(10月〜8歳)を対象とした。術中右室前壁心内膜側より心筋を採取した。さらにうち10例は術後遠隔期(6月〜3年後)に心カテ-テル検査し、右室心筋生検を行なった。これらの採取心筋に対し、光顕および電顕を用いて病理組織学的変化を観察し、心筋細胞横径を測定し、間質線維化の定量を行った。また透過電顕に微妙な細胞病変の観察・評価を行った。さらに組織学的所見はカテ-テル検査デ-タと対比し循環動態との関連性を検討した。結果:術中採取心筋の特徴的な病理組織像として光顕では心筋細胞の肥大、ミトコンドリアの異常増加、グリコ-ゲン顆粒の集積、多核化、間質の線維化などが観察された。電顕ではこれらの所見に加えて筋原線維の断裂・疎少化・錯綜配列、介在板の開大・不規則化を認めた。心筋横径Pp/Ps、間質線維化の進行度とPp/Psはそれぞれ有意に相関してとり、圧負荷が右室心筋の組織変化をもたらしているものと考えられた。遠隔期の生検所見では心筋細胞肥大は改善の傾向が認められたが、線維化の改善はなく、むしろ有意に増加していた。結論:(1)VSDの右室心筋では、心筋細胞の肥大・変性、間質の線維化、ミトコンドリアの異常増加、グリコ-ゲン顆粒の集積等が観察され、これらは右室圧負荷による変化と考えられた。(2)遠隔期に心筋細胞肥大は改善する傾向を示すが、線維化はむしろ増加しており、術中心筋保護法を含めて補助手段になお改良すべき点があると考えられた。
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