1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570803
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
久保田 紀彦 福井医科大学, 医学部, 助教授 (70092781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兜 正則 福井医科大学, 医学部, 助手 (80169599)
半田 裕二 福井医科大学, 医学部, 助手 (10173105)
河野 寛一 福井医科大学, 医学部, 講師 (90126574)
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Keywords | クモ膜下出血 / 線維形成 / 線維溶解物質 |
Research Abstract |
本研究に補助金が交付されたのは下半期であり、現在のことろ、実験方法を確立出来た段階である。 (1)実験方法の確立:Wisterラットにくも膜下出血実験モデルを作成した。ペントバルビタ-ル40mg/kgを腹腔内に投与したし後、大槽内に0.1-0.2mlの自家血を注入し、直後、3日後、7日後、14日後に屠殺し、くも膜下腔を中心に組織学的に検察した。まず、光顕で観察するために、脳を取り出した後、ホルマリン固定を行ない、ヘマトキシリン・エオジン、マッソン、好銀線維の各染色を行ない、くも膜細胞の線維形成を観察した。線維形成は好銀線維染色で最も良く観察され、7日後より明瞭にくも膜下出血部位のくも膜細胞の周囲に好銀線維が出現し、14日後のものでは、好銀線維形成が著名となった。さらに、これらの部位の超微細構造を観察するために、実験動物を自動潅流装置を用いてグルタ-ル・アルデヒドで固定した。脳を取り出した後、走査電顕用と透過度電顕用に固定、包埋し観察した。走査電顕によるくも膜下出血部位の観察では、光顕所見と一致して、7日後、14日後に線維の形成が観察された。透過電顕標本の観察では、出血3日後に、すでにコラ-ゲン・マイクロファイブリルが良く形成されており、14日後のものでは、成熟した太いコラ-ゲン線維が多量に形成されていた。これらのことから、くも膜下出血後の線維形成は3日後より始まり、14日後には充分形成されていることが証明された。我々の実験目的である、くも膜下出血後の線維形成状態を取り除く物質を探し出すためには、本モデルの7日目以降のものを使用するのが適当であるとの結論が得られた。 (2)線維溶解実験:現在disulfide reagentを中心に線維溶解剤をくも膜下出血作成7日以降のラットのくも膜下腔に注入し、上記と同様な方法で組織学的検索を行っている。
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