1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570804
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 弘 岐阜大学, 医学部(脳神経外科), 教授 (40021365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 康明 岐阜大学, 医学部(脳神経外科), 助手 (60198512)
安藤 隆 岐阜大学, 医学部附属病院(脳神経外科), 講師 (90126722)
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Keywords | くも膜下出血 / 破裂脳動脈瘤 / 脳血管攣縮 / ロイコトリエン / アラキドレ酸 |
Research Abstract |
当該研究は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)後の脳血管攣縮に対し、アラキドン酸(A.A.)リポキシゲナ-ゼ系代謝産物ロイコトリエン(LT)の関与を検討し、更にA.A.代謝或いは脂質代謝の関与を検討するものである。そこで本年度は、先づ実験的SAH犬の髄腔内へのLT注入による検討を行った。その結果、生理学的変化として、LTC_4、D_4の髄腔内注入にてくも膜下腔に面した頭蓋内主要動脈は、容量依存的に拡張、収縮、弛緩の3相性変化を呈した。一方、LTB_4注入では、それらの変化はなかった。しかし光顕レベルに於ける組織学的検討では、LTB_4で髄膜への著明な好中球浸潤をみたのに対し、LTC_4、D_4では何れの変化もみられなかった。又、髄液中LT及びその代謝物を分析すると、LTC_4、D_4が比較的短時間で代謝されたが、LTB_4はかなり安定で一部に於いて20-COOHLTB_4と思われるpeakを得た。尚、LTの推骨動脈内注射ではその支配領域の血管収縮と同時に、呼吸停止、痙攣発作が見られた。以上の中で、LTC_4、D_4髄腔内注入による頭蓋内主要動脈の拡張、収縮、弛緩という3相性変化は、脳血管痙攣の成因という観点から極めて重要と推測された。そこで、LTの血管平滑筋に対する作用に注目し、培養血管平滑筋を用いて細胞内Ca^<2+>濃度の変化を検討した。その結果、LTC_4、D_4による細胞内Ca^<2+>濃度の急激な上昇を認めたが、これはより強力なOxy Hbによるsustained high Ca^<2+>levelとは異なっており、今後更に詳細な検討を加えることとした。一方、SAH時の髄腔内或いは脳内A.A.代謝を検討する為、先づ、髄液中脂質代謝、特にリン脂質代謝を検討した。その結果、重症SAH患者では、リン脂質、特にリゾリン脂質の髄液中濃度の上昇が伺われた。今後、このリゾリン脂質の血管系への作用や、SAH時のA.A.代謝(Phospholipase活性を含む)での位置付けも検討課題と推測された。
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Research Products
(2 results)