1989 Fiscal Year Annual Research Report
髄芽腫の腫瘍化および増殖メカニズムの解析と治療方法の検討
Project/Area Number |
01570809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 恵司 大阪大学, 医学部, 助手 (50162699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 徹 大阪医学, 医学部, 助教授 (20135700)
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Keywords | 髄芽種 / 主要組織適合抗原複合体 / 免疫療法 / 脳腫瘍 / LAK細胞 |
Research Abstract |
髄芽腫は、小児に発生する悪性脳腫瘍の13ー15%を占め、早期に髄腔内播種をきたしやすい性質を有し、その病態に至ると極めて根治困難な疾患である。一方、この腫瘍は、放射線に感受性が高く、腫瘍を切除したのち放射線療法を施行した症例の5年生存率は、50ー70%であると言われている。しかし、発育途上にある脳脊髄全体への放射線照射の副作用として、知能・発育障害をきたし、新たな社会問題になろうとしている。本研究では、従来の放射線療法の副作用を減じ、さらに根治的な治療方法を確立する目的で、髄芽種細胞の増殖、腫瘍化メカニズムを細胞・分子レベルで解明する事を目指している。 世界中で10例未満の細胞株しか報告されていない脳芽種株を、当教室で2例樹立し、染色体の同定もすでに終了した。癌化と主要組織適合抗原複合体(MHC)の関連性を検討したところ、神経細胞の特徴を示す構造蛋白を有する髄芽種細胞に、はじめてclass Iおよびclass II MHC抗原が同定された。この現象は、髄芽種細胞が、神経細胞とグリア細胞に分化する以前の前駆細胞より発生した可能性を示唆している。この研究実績は、1989年10月号のCancer Researchに掲載された。In vitroでの制癌剤感受性テスト、および髄腔内播種モデルについても研究を終了しており、既に専門誌に投稿している。 この両髄芽種細胞株に特異的に反応するマウスモノクロ-ナル抗体も作製出来ている。現在、この抗体の抗原決定基を分子レベルで同定している段階である。さらに、この抗体が、グリア細胞あるいは神経細胞の区別が可能かどうかを、細胞レベルで検索している最中である。また、臨床的には、このモノクロ-ナル抗体が、髄芽種患者の播種病態の早期診断に役立つかどうか臨床症例を重ねている段階である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tamura,Kazuyoshi: "Detection of Major Histocompatibility Complex on Human Medulloblastoma Cells" Cancer Research. 49. 5380-5384 (1989)
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[Publications] Yamada,Masanobu: "Murine Models of Human Medulloblastoma with Meningeal Dissemination" Journal Neurosurgery.
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[Publications] Shimizu,Keiji: "A Long Term Followーup of Adoptive Immunotherapy with Lymphokineactivated Killer Cells for Malignant Brain Tumors" Cancer Immunology,Immunotherapy.
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[Publications] 清水恵司: "髄芽種患者に対する養子免疫療法" 脳と神経. 41. 991-995 (1989)
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[Publications] 山田正信: "樹立培養株を用いたPNET及び髄芽種の生物学的比較検討" 神経免疫研究. 2. 137-142 (1989)
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[Publications] 馬淵英一朗: "ヒト髄芽種細胞に対するIFNーβの単独および併用療法の検討" 癌と化学療法.