1990 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜下出血後の脳血管攣縮におけるアラキドン酸リポキシゲナ-ゼ産物の関与
Project/Area Number |
01570813
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡辺 高志 鳥取大学, 医学部, 助教授 (00175100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿武 雄一 鳥取大学, 医学部, 助手 (10168049)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / アラキドン酸 / リポキシゲナ-ゼ / 12ーHPETE / 12ーHETE |
Research Abstract |
アラキドン酸の12ーリポキシゲナ-ゼ産物の12ーHPETEおよび12ーHETEを雑種成犬の大槽内に髄注し、12ーHPETE>12ーHETEの遅発性脳血管攣縮を作製することができたが、経時的に髄液を採取し、検討したところ、12ーHPETEは、急速に、12ーHETEに代謝され、その12ーHETEも数時間後には、髄液中より検出されなくなった。12ーHPETEにより作製された血管攣縮は8時間以上のタイムラグをもって発生することより、12ーHPETEは、むしろ、イニシエ-タ-として作用しているものと考えられた。 次に、in vitroにおけるアラキドン酸の12ーリポキシゲナ-ゼ産物の犬脳底動脈に対する薬理作用を検討するため、脳底動脈のリング切片を用いた、isorcetric tension studyを実施した。12ーHPETE投与群では、10^<-7>Mより有意な収縮を認め、10^<-5>Mにおいて、5ーHT(同濃度)の約40〜60%程度の収縮を認めた。12ーHETE投与群では、それほど有意な収縮は認められなかった。尚、chamber内では、12ーHPETEは比較的安定であったため、髄腔内には、12ーHPETEを能動的に代謝、吸収する経路の存在が、示唆された。 また、in vivoおよびin vitroにおける12ーHPETEの作用には、かなり個体差を認めており、この点においても、臨床上、クモ膜下出血後に起こる遅発性脳血管攣縮に類似していた。更に、遅発性脳血管攣縮誘発(in vivo)および、脳血管収縮(in vitro)作用が、12ーHPETEに特異的なものであるか、あるいは、脂質過酸化物に一般的認められる作用であるのかを検討する目的で、リノ-ル酸の過酸化物の13ーHPODを同様に投与したところ、12ーHPETEと類似した作用をin vivoおよびin vitroにおいて認めた。以上のことより、血管攣縮誘発、血管収縮作用は、脂質の過酸化物に一般的に認められる作用である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 西山 誠,渡辺 高志: "リポキシゲナ-ゼ産物と神経伝達" 実験医学. 9. 43-49 (1991)
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[Publications] 渡辺 高志,西山 誠: "脳虚血とリポキシゲナ-ゼ" 現代医療. 21. 79-82 (1989)
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[Publications] Watanabe T,Nishiyama M,Okamoto H,Hori T,Asano T,Takakura K,and Shimizu T: "Cerebral Vasospasm The proceedings of the International Conference of Cerebral Vasospason" Keiji Sano,Kintomo Takakura,Neal F,Kassell,Tomio Sasaki,University of Tokyo Press., 3 (1990)
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[Publications] Watanabe T,Asano T,Shimizu T: "Newochemical Correlates of Cerebral Ischemia" Bazan NG,Plenum Publishing Corporation,New York.,