1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570835
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池内 健 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (30026223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正典 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (20088537)
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Keywords | 密封式人工関節 / 人工関節包 / 人工関節液 / 人工股関節 |
Research Abstract |
1.シリコンラバ-およびポリウレタン製の人工関節包の内部に液体を封入した状態で屈曲伸展と内外転を行わせた。変形角度の増大時と減少時とで変形低抗モ-メントが異なるヒステリシス現象が見られた。また変形量が一定値以上になると人工関節包の表面にしわが現れるとともに変形低抗が減少した。 2.変形低抗は封入した液体の量によって異なり、とくに液体の量が多すぎると屈曲と共に内部の液圧が上昇して変形しにくくなり、変形限界角が大幅に低下することがわかった。 3.内部に封入する液体が適量であれば、いずれの材質の場合にも人工関節包の変形能力は屈曲伸展において80°、内外転において40°以上であった。これより人工関節包を用いてもそれによって関節の動きが制限されないことが確認された。 4.人工関節液として植物油(ひまし油)を取り上げ、蒸留水、生理食塩水、牛血清で潤滑する場合と比較した。アルミナとHDPEを試料とし、面圧3MPa、周速60mm/sの条件下で摩擦係数と摩耗量を測定した。摩擦係数は0.02であり、牛血清の1/3以下であった。また4週間の試験におけるHDPEピンの厚さの減少量は1μm以下であり、これより計算された摩耗率は牛血清の1/10以下であった。以上より人工関節液が開発されれば人工関節の摩耗を事実上なくせる可能性が示された。 5.ステンレス鋼の骨頭とHDPEのソケットよりなる密封式人股関節を製作した。人工関節包内に液体を封入しても可動範囲は十分であることが確認された。これを関節シミュレ-タに装着して試験した結果、この人工関節は正常に作動した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 池内 健: "密封式人工関節の開発" 病態生理. 9. 733-737 (1990)
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[Publications] K.IKEUCHI and M.OKA: "Elastoーmixed lubrication in total hip prostheses" Frontiers of Medical and Biological Engineering. 2. 167-170 (1990)
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[Publications] 池内 健・岡 正典: "人工関節液を用いる密封式人工股関節" 整形外科バイオメカニクス. 12. (1991)