1989 Fiscal Year Annual Research Report
手指外傷後のカウザルギ-様疼痛の病態解明-特に軸索流と神経内血流の面から-
Project/Area Number |
01570836
|
Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
貞廣 哲郎 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30116818)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 俊一 高知医科大学, 医学部, 講師 (90136250)
|
Keywords | Peripheral nerve / Autonomic nerve / Circulation / Nerve compression |
Research Abstract |
1.まず、実験モデルA群、B群をそれぞれ3頭ずつ作成した。そして方法2に示したように交換神経性皮膚反応を調べたが、人間で得られるような波形が得られなかった。また動脈壁からの交換神経性動脈壁平滑筋反応もうまく導出できなかった。この方面の自律神経電気反応は人間とは少し異なるようである。この方面に造詣の深い信州大学第2生理小山省三教授に御指導いただき、新たな方法を模索中であり、電極の専門メ-カ-、日本ユニ-クメディカル社と協議中である。 2.先に挙げたA群、B群各3頭につき、神経内血流量を測定した。初めの予定通り、従来の吸入式より正確な血流量が得られるとされる加水分解式水素クリアランス法を採用した。しかし、本法では局所で水素を発生させるための針と感電極針が2本1対となっているが、このため針が太くなり、細い犬の末梢神経ではかえって不安定な結果となってしまった。また、針が太いことは神経に与える損傷も大きく、次に行う軸索流の測定にも影響が考えられ、吸収式水素クリアランス法に変更した。これにより針が著しく小さくなり、神経内血流測定も一段と安定してきた。ただ、今回計画したように複雑な実験モデルの血流を測定するにはなお手技の習熟が必要である。そこで、予備実験を兼ねて、過去の臨床研究で行ってきた胸郭出口症候群が末梢神経阻血によるintermittint claudication様症状であるとの推測を実験的に証明することとした。現在、犬の坐骨神経を用い、空気駆血帯を作して軽微な圧迫を加え、阻血状態を本法を用いて血流測定し、末梢神経活動電位を測定している。このことは胸郭出口症候群のみならず、頸椎、腰椎椎間板ヘルニア等の疼痛の発現機序とも共通するものがあり、カウザルギ-研究の第一歩となるものである。この段階の一部は第33回日本手の外科学会に発表の予定である。この段階が終れば、本来の目的をさらに追求する予定である。
|