1990 Fiscal Year Annual Research Report
高分子材料による骨接合部の柔軟性が、仮骨形成能と骨強度に及ぼす影響の経時的測定
Project/Area Number |
01570850
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井口 傑 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60051851)
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Keywords | 骨 / 高分子材料 / 骨折 / ポリ乳酸 / 仮骨形成 / 骨強度 |
Research Abstract |
1)方法:高分子材料として、ポリ乳酸をもちい厚さ4mm、幅16mmプレ-トを作成し、3.2mmのAOスクリュ-用の孔を4箇所に開けた。ネンブタ-ル麻酔下の雑種成犬の大腿骨の中央を骨鋸にて横断し、骨折モデルを作成した。大腿骨前面に、高分子材料のプレ-トを中枢2本、末梢2本のAOスクリュ-にて固定した。 同様に、反対側の大腿骨を4穴AOプレ-トとスクリュ-で固定し、コントロ-ルとした。2、4、6週後に屠殺し、骨折部の外観、HE染色による組織学的検索、プレ-トとスクリュ-を除去した後の曲げ応力に対する強度について検索した。 2)結果:2週の骨折部は、一部に血腫を残し、他は線維組織で置換されている。組織学的には、血腫と未熟な線維組織が骨折部を埋めている。高分子材料のプレ-トの周囲は、コントロ-ルのステンレスプレ-トに比較して、炎症性細胞の浸潤が著明である。曲げ応力に対する強度は差はない。4週の外観はほぼ線維組織に覆われ、一部に仮骨組織を認める。組織学的には、線維学的には、線維組織と硝子軟骨が半々であり、一部に骨の形成を認める。曲げ応力に対する強度はは2週に比して4倍となるが、コントロ-ルとの差を認めない。6週における外観は、ほぼ仮骨によって覆われる。組織学的には軟骨と新生骨組織が錯綜している。強度的には差がなく、機能的には骨癒合の状態が得られた。 3)考察:炎症性細胞の浸潤が、コントロ-ル群に比べて著明であった以外は、外観、組織学的、強度的にみてもコントロ-ルに使用したAO製のステンレススチ-ルプレ-トとあまり差がなっかたことは、高分子材料を用いた骨接合術が可能であり、吸収性、可塑性などの特微を生かす事が可能である。
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