1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570856
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
円山 啓司 秋田大学, 医学部, 講師 (80125707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真崎 容子 秋田大学, 医学部, 助手 (30125744)
光畑 裕正 自治医科大学, 麻酔科, 講師 (70108934)
堀口 剛 秋田大学, 医学部, 助手 (70221570)
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Keywords | 肺血管内マクロフィ-ジ / トロンボキサン / プロタミン / ヘパリン・プロタミン複合体 / 山羊 / 家兎 |
Research Abstract |
プロタミン静注後の肺高血圧発生機序を解明する目的で、山羊、豚、家兎を用い、プロタミン投与後の肺動脈圧、気道内圧の変化について調べた。その結果、山羊、豚では投与後肺動脈圧の上昇と気道内圧の上昇が見られたが、家兎、開心術症例では観察されなかった。このことから、種による相違は肺血管内マクロファ-ジ(PIM)の量的な差(山羊、羊、豚に多く、家兎には少ない)によって生じることが考えられた。また他の異物(異種血液、リポソ-ム)でも同様の結果が報告されている。インドメサシン前投与により肺動脈圧、気道内圧の変化が抑制されたことまた投与後のTxB2が高値を示したことから、この機序にはトロンボキサン(TxB2)が重要な役割を演じている。次に、この反応が主にへパリン・プロタミン複合体(complex)によって引き起こされるかどうかとヘパリン・プロタミン複合体(complex)と非複合体(no complex)に分離し、山羊を用いて検討した。その結果、complex投与では肺動脈圧、気道内圧が上昇したが、no copmplexの投与では変化しなかった。またインドメサシン、トロンボキサン合成阻害剤(OKY046)前投与により肺動脈圧、気道内圧の上昇が抑制された。また血中TxB2も投与後高値を示した。生後1日目の山羊、家兎では変化は見られなかった。山羊にはPIMが電顕で観察されたが、生後1日目の山羊では確認できなかった。complex投与後の山羊では異物を取り込んだPIMが見られたが、no complex投与後の山羊では異物を取り込んだPIMは観察されなかった。以上のことから、プロタミン静注後の肺高血圧発生機序はプロタミン括抗後にできたcomplexをPIMが貧食または接触することにより、PIMからTxB2を遊離し、その結果は、肺動脈圧、気道内圧の上昇をもたらしたと考える。人ではPIMは少ない事から、臨床でこのような機序で肺高血圧、気道収縮が生じる可能性は少ない。今後PIMに取り込まれた異物がcomplexであることを確かめる必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 堀口 剛,円山 啓司,村田 誠,鈴樹 正大: "ヘパリン・プロタミン複合体による一過性肺高血圧へのトロンボキサンの関与" 麻酔. 40. S614 (1991)
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[Publications] 堀口 剛,円山 啓司,村田 誠,鈴樹 正大: "山羊と兎のプロタミン括抗による肺血管反応の相違" 日本麻酔薬理学会誌. 4. 59 (1991)
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[Publications] 堀口 剛,円山 啓司,鈴樹 正大: "プロタミンと肺高血圧" 呼吸と循環. 40. 43-48 (1992)
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[Publications] 堀口 剛,円山 啓司,光畑 裕正,村田 誠,鈴樹 正大: "山羊と兎におけるプロタミン括抗による肺血管反応の相違" 麻酔. 41. (1992)
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[Publications] T.Horiguchi,K.Enzan M.Murata,Y.Tobe M.Suzuki: "Pulmonary reaction to heparineーprotamine in goats and rabbits" FASEB.J.(1992)