1989 Fiscal Year Annual Research Report
低出力ヘリウム-ネオンレ-ザ-の生体膜および神経伝達への影響-除痛効果解明手段として-
Project/Area Number |
01570858
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
飯島 一彦 千葉大学, 医学部麻酔学教室, 助教授 (70009596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 康一郎 千葉大学, 医学部第二生理学教室, 助教授 (10009649)
下山 恵美 千葉大学, 医学部麻酔学教室, 助手 (10206253)
下山 直人 千葉大学, 医学部麻酔学教室, 助手 (40196572)
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Keywords | 低出力レ-ザ- / 赤血球膜 / 低張性溶血 / 膜安定化 / 痛覚閾値 / 末梢皮膚温 / 星状神経節 / 末梢血流 |
Research Abstract |
平成元年度科学研究費により購入せる低出力He-Neレ-ザ-発振装置により下記の研究がなされた。 (1)ヒト赤血球膜の低張性溶血に対する低出力レ-ザ-の影響 第10回日本レ-ザ-医学会(元年10月旭川)および第8回国際レ-ザ-医学会(元年11月台北)において発表した如く、低出力He-Neレ-ザ-照射の赤血球膜安定化作用が新しい知見として得られた。この知見は神経膜、シナプスなどの膜成分における痛み刺激の伝達に何らかの抑制効果を及ぼす可能性が示唆された。次年度のシナプス伝達への研究の方向づけともなった。 (2)低出力レ-ザ-の照射部位による末梢皮膚温、疼痛閾値の変化 実際の臨床の場の麻酔科疼痛外来において、どの部位にレ-ザ-を照射したら有効であるかを本器を用いて、ヒト痛み神経伝達路に相当する手三里と抹消の合谷を夫々5分間照射した際の末梢部位(合谷)における皮膚温、痛覚閾値を調べた。末梢照射の方が伝達路上照射よりも痛覚閾値は上昇するものの予想に反し、皮膚温は余り変化しなかった。この結果は末梢レ-ザ-照射が、痛覚伝導系に及ぼす影響と皮膚温支配の交感神経系への影響とは多少異なった効果を発現する可能性を示唆し、更に今後の基礎的研究に課題として残された。 (3)星状神経節近傍照射の効果 そこでヒトの星状神経節近傍に低出力レ-ザ-を照射して、上肢末梢における痛覚閾値、末梢皮膚温、末梢血流の変化を調べた。照射5分間で上記パラメ-タ-測定30分までとしたためか血流のみ30分後に軽度血流増加を認めるものの痛覚閾値は変化しなかった。これらの結果は交感神経系と痛覚知覚系への低出力レ-ザ-の作用に違いがある可能性が疑われた。今後も研究を重ね再検討の必要があろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 飯島一彦,下山直人,下山恵美,水口公信: "低出力He-Neレ-ザ-照射の赤血球低張性溶血に及ぼす影響" 日本レ-ザ-医学会誌. 10. 419-422 (1989)
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[Publications] 飯島一彦,下山直人,下山恵美,水口公信: "低出力レ-ザ-の照射部位による局所皮膚温、疼痛閾値の変化-合谷、手三里照射より-" 日本レ-ザ-医学会誌. 10. 383-384 (1989)
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[Publications] 飯島一彦,下山直人,下山恵美,水口公信他: "合谷および手三里への低出力レ-ザ-照射の末梢皮膚温、痛覚閾値に及ぼす影響" ペインクリニック. 11. (1990)
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[Publications] Kazuhiko Iijima,et al.: "The effect of low-power He-Ne laser on hypotonic hemolysis in human red cells." Proceedings of the 8th Congress International Society of laser Surgery and Medicine. 111-111 (1989)
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[Publications] Kazuhiko Iijima,et al.: "The effect of low-power He-Ne laser on hypotonic hemolysis of human erythrocytes" Lasers Surg.Med.
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[Publications] 飯島一彦,下山直人,下山恵美,萩谷雅人,水口公信: "星状神経節近傍への低出力レ-ザ-照射の影響" 麻酔. 39. (1990)